内容説明
犬公方に立ち向かう武器は、ただ一本の釣り竿。夜の帳の中を行く何ものかの気配。幽霊か、物の怪か。生類憐みの令のもと、ご禁制を破り、命をかけて釣りを続ける者たちを描いた書下ろし時代長篇。
著者等紹介
長辻象平[ナガツジショウヘイ]
1948年、鹿児島県出身。京都大学農学部卒。専攻は魚類生態学。科学ジャーナリストのかたわら、釣魚史研究家としても著名で、著書に『江戸釣魚大全』(平凡社)、『釣魚をめぐる博物誌』(角川選書)、『江戸の釣り』(平凡社新書)などのほか、小説では『忠臣蔵釣客伝』『元禄いわし侍』(ともに講談社刊)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タツ フカガワ
47
五代将軍綱吉の治世、漁師以外は釣り禁止(違反したら島送り)、漁師でも活魚の販売は禁止と、生類憐れみの令が庶民を苦しめていた。浪人の長四郎と三味線師匠のお与満、そばの担い屋台の銀七の三人は、そんなご時世に抗うように“闇の釣人(つりゅうど)”を名乗って釣りを続けていた。勧善懲悪の時代活劇で、釣りを通じて描かれる江戸の風景も新鮮、楽しい読書でした。2024/06/23
藤枝梅安
34
魚類生態学が専門で釣りにも詳しい著者が、釣りに関する知識をベースに本所深川の七不思議を織り交ぜて、生類憐れみの令に苦しむ町人や下級武士の姿を描く小説。時は五代将軍綱吉の世。元禄から宝永にかけて釣りも禁止されていた。大名の妾腹の浪人・長四郎は密かに注文に応じて魚を釣る「闇の釣り人」。事件の度に登場人物が増え、仲間が増えていく。人物の描き方がわざとらしくなく、ストーリー展開もスムーズ。あまり知られていない小説だが、釣りが好きな方、時代小説が好きな方、特に池波正太郎さんの小説が好きな方には是非お薦めしたい一冊。2010/10/23
ナツ
2
生類憐れみの令が幅を利かせている頃、闇の釣を生業とする二人の釣りと本所七不思議を軸にした時代小説。徐々に明らかになってくる悪役の過去や本性。仲間に助けられたり失ったりしながら最後には悪を成敗!2023/07/28
三田主水
2
終盤のサスペンスの盛り上げぶりがなかなか2009/06/04
markuna
1
釣あり、色気すこしあり、刀のウンチクあり、チャンバラあり。いろいろと楽しめる。2016/06/07