内容説明
ほんとうにあった物語。おじいさんが少年につたえたかったこととは?心にとってかけがえのないものとは?深い川の流れのようにつづいていく、おじいさんと孫の対話絵本。
著者等紹介
マルタンゲ,クロード[マルタンゲ,クロード][Martingay,Claude]
1920年、スイスのジュネーブ生まれ。作家
デュマ,フィリップ[デュマ,フィリップ][Dumas,Philippe]
1940年、フランスのカンヌ生まれ。絵本作家・イラストレーター
ときありえ[トキアリエ]
1951年、東京都生まれ。児童文学作家。翻訳家。『のぞみとぞぞみちゃん』で日本児童文学者協会新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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seacalf
47
孫にせがまれて話すおじいちゃんのお話は、現代ではちょっと信じられないような、でも本当にあったお話。旅先のドイツの教会の出口に犬と一緒に座っていた物乞いのことが忘れられず、スイスの家に戻ってから住所もわからないその男宛に手紙を出す。なんともドイツの郵便屋さん泣かせの行為だが、地元の小学生達の協力もあってちゃんと返事がくるのだ。おじいちゃんと孫の話のやりとりや、2人が喋りながら歩く散歩道や回想シーンのスケッチに心が動く。一体どんな内容の手紙を送ったのかが気になるところ。含みを持たせる内容で大人向けの絵本。2022/03/31
♪みどりpiyopiyo♪
24
「おじいちゃん、あのひとのはなしをしてよ」 おじいさんは少年に、旅先で出会った忘れられない男のことを語りはじめます。■お散歩の二人。スイスの街並み。旅の追憶。心に残る人。人の心にかけがえのないものとは。フィリップ・デュマの細い線画に淡い水彩が、おじいちゃんとあの人の 微かな 確かな 心の触れ合いを写すようで。■「いろんなもののうえをゆきがおおう」同じ話を何度もせがむ孫の気持ちがわかります。これは尊厳についての「対話」なんだ。じんわり沁みるお話でした。(2003年 スイス)これ、実話だそうです2018/02/09
mntmt
20
静かに語りかけて来る絵本。数年後にまた読み返したい。2016/10/05
ちえ
18
【おじいちゃんとの時間】終わりがよくわからなさを感じて、最後のところを何回も読み返した。お話は<おじいちゃんが昔旅先で見た物乞いと犬のことが忘れられなくて、その人に手紙をだしたら、返事が返ってきた>という話で、それ自体もとても深い。私自身は(どんなに親しい相手にも、自分にとってとっても大切なことは秘密にしてたいこともある。なんでも言わなくてはいけないわけではない。大事なことは秘密にしていてもいいんだよ)と、おじいちゃんが孫に伝えているような気がした。水彩と思われるペン画がとても繊細です。2018/03/11
ヒラP@ehon.gohon
17
女の子がおじいさんに何度も繰り返し聞きたがるのは、おじいさんが物乞いに施しを与えてあげた美談でした。 しかも、物乞いに施しをした上に、誰かも分からない相手に手紙を書いて、人々の手で手紙が届き、返事が帰ってきた奇跡でした。 でも、物乞いからすれば、あれこれと話を広めては欲しくない、名前もおじいさんにだけ伝えた、それだけだったのでしょう。 雪の下に埋もれた名前という言い方が、素晴らしいです。 美談は、自慢したり、語り歩いたりしないから美談なのですよね。2016/08/29