内容説明
沖縄の戦前、戦中、戦後を駆け抜けた少年仁の切なくも希望に満ちた清新な物語。
著者等紹介
伊佐千尋[イサチヒロ]
1929年東京生まれ。小学生のころ、父の故郷である沖縄へ移り住む。戦中は疎開のため沖縄を離れるが、戦後、父の安否を確かめにふたたび沖縄へ渡る。琉球列島軍司令部などで通訳・翻訳にたずさわった後、横浜で貿易会社をおこす。78年に沖縄での陪審員体験を綴ったデビュー作『逆転』(岩波書店)で第9回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。これを機に実業界から作家に転じ、執筆・講演を精力的に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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James Hayashi
21
著者の実体験を小説化したもの。戦中戦後の様子はまだ著者がティーンエイジでそれほど悲惨さは感じられないが、ひもじさ、やるせなさの青春時代を送っている事は伝わってきた。それでも少年のイキイキ生きる姿は凛々しく希望を感じた。米側が沖縄上陸を前にして多くの人々が本土に疎開するため商船や貨物船に乗り込んだらしいが、米軍の潜水艦により沈没し多数の児童と人々が犠牲になった事は知らなかった。沖縄戦での戦死者は24万人とも言われる。悲惨極まりない。2015/11/15
kei
0
無為の死を語り継ぐこともなくなってしまうのだろうか。2014/06/27
sutekibito
0
ドキュメンタリーと小説が行き来する。悲惨な話の中にも、暖かいものが感じられ読みやすかった。2012/04/01
まめ千代
0
戦争の話しはどれも悲惨ですが、沖縄の地上戦や日本軍がオキナワンに銃を向けたり集団自決をさせる話しは悲惨極まりない。私の祖父の弟は沖縄戦で亡くなったらしい。どんな軍人だったのだろう?偶然にも彼の命日となった日の記述もあり、会ったことのない祖父の弟の最期を想像して泣きました。2011/10/30