出版社内容情報
10歳のわたしは、ホームレスだった
児童文学作家・上條さなえ、渾身の自伝
昭和35年、父とふたり、池袋のドヤ街でその日暮らしをしていた著者を支えてくれたのは、街で出会った人たちだった。パチンコ屋のお兄さん、やくざのお兄さん、床屋のお姉さん……ふつうの人々がやさしかった時代を生きた、10歳の女の子の記録。
上條 さなえ[カミジョウ サナエ]
著・文・その他
内容説明
昭和35年、父とふたり、池袋のドヤ街でその日暮らしをしていた著者を支えてくれたのは、街で出会った人たちだった。パチンコ屋のお兄さん、やくざのお兄さん、床屋のお姉さん…ふつうの人々がやさしかった時代を生きた、10歳の女の子の記録。
目次
椎名町
大塚
狭山貯水池
鮫洲
滝野川
高尾山
九十九里村
根津八重垣町
池袋
秋津
房総へ
著者等紹介
上條さなえ[カミジョウサナエ]
1950年東京に生まれる。小学校教員を経て、1987年、児童文学作家としてデビュー。作家生活の傍ら、埼玉県の児童館館長を十一年間勤める。執筆や講演を通して、家族のふれあいの大切さを訴えている。2002年から埼玉県教育委員会にて教育委員を、2005年7月から2006年10月までは同委員長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
24
作者の壮絶な幼少期が書かれた自伝。妬みなど人間のネガティブな感情の行き着く先、人間が堕ちていく過程がよく表現されている示唆に富んだ作品。舞台となった1960年前後の世相がわかるという意味でも貴重。それなりのページ数はあるが、一気に読み切れる。2023/07/30
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
17
もし10歳でホームレスだったら、どんな暮らしをするのか想像もつきません。この本はそんな生活を実際に体験した著者が、5年生の秋から翌年の秋までの1年間を思い出して描いた自伝的な本です。2018/10/05
michel
11
ドヤ街でのホームレス生活から、養護学園へ。「子どもって、かなしいよね。大人に決められたら逆らえないし、どんなにいやなことだって、がまんしなくちゃならないんだもん」1950年生まれの作者。私の母と同年。やはり、生活苦の子供時代だった。父、母、姉、伯父、従兄、やくざの正塚、床屋のまっちゃん、養護学園の山本先生…なこちゃんの見た大人たち。うそも愛情も、子どもはすべてを見ている。2021/07/06
ねこ
5
児童文学作家・上條さなえさんの幼少期を綴った自叙伝。父親が酒に溺れ、家族の生活が破綻していくなかで、なこちゃんこと早苗は父とともに木賃宿を点々とし、小学校5年生をふいにすることになる。パチンコの玉を拾い、店員に助けられながらお金を稼ぐなど、武勇伝もあるけれど、どれだけつらかっただろう。けっして親を憎めない子どもの気持ちが伝わってくる。切なさと強さが残る。2023/02/02
ネジとサビ
5
2020年の読書感想文の一冊「月と珊瑚」の著者の自伝的小説ということで、惹かれて読んだ。 壮絶な10歳を過ごしているのに、恨みがましさがなく、そうするしかしょうがなかった人たちに対する眼差しがどこまでも温かい。こんな心持ちのなこちゃんがいっぺんに好きになりました。 ルビも振ってあり、高学年なら読めるかな?2020/05/18