内容説明
日本縦断廃墟探訪。廃墟の鬼才小林伸一郎渾身の最新作184。遠い昔に人々が去っていった場所、時間が停止した空間。それはまさに亡骸劇場。
著者等紹介
小林伸一郎[コバヤシシンイチロウ]
1956年東京都に生まれる。1978年専修大学経済学部卒業。1985年スタジオ、出版社カメラマンを経てフリーランスに。1988年株式会社スタジオライズを設立。1991年第28回平凡社準太陽賞を受賞。1994年第5回コニカ写真奨励賞を受賞。1997年第2回東京国際写真ビエンナーレ・キヤノン賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
34
学校、病院、遊園地、ホテル、炭坑町。放棄されて久しい廃墟。風化したもの、故意に壊されたもの、雑草に覆われ、苔とカビにまみれた人工物。不気味さや怖さよりも、かつての生活や人の関わりがあったものが取り残される、物悲しさ。そして、いとおしさ。こんな寂しいところは、幽霊も留まる事を遠慮するだろう。2014/12/12
ましろ
14
戦争本の横にあったので、どれだけ恐ろしい本なのかと怖々手に取ったら廃墟写真集でした(^^;)廃墟写真は割と好きな方なのですが、さびれた観光地のキャラクター、無人の老人ホームの廊下にポツンと放置された車椅子、軍艦島の団地の部屋に置かれたままの遺影と仏具セットとか、生活していた状態そのままが残って放置状態って突然そこにいた人達が消えてしまったようでちょっと怖かったです。2015/08/14
ふう
13
醜く汚れ、壊れ朽ち果てたものをなぜこんなにも美しく感じられるのか不思議。そこに確かに存在した”時間”や”感情”を読み取ってしまうからだろうか。すべての写真がとても印象的。タイトルも秀逸。 2019/09/02
Koki Miyachi
8
廃墟写真家小林伸一郎の写真集。見捨てられた廃墟を丁寧に撮影した写真からは、その建物で営まれた生活や人々の哀歓が色濃く感じられる。ハッセルやプラウベルマキナなどの中判やリンホフなどの大判フィルムカメラで撮影されているのもそう感じさせる一因かもしれない。小林氏は今でもフィルムカメラで撮影しているのだろうか?2017/04/09
右脳neo
7
廃墟というよりかは、確かに亡骸というべき、人の生活がそこに残り、忘れられ、横たわっている。本当に”そのまま”残っているものも多い。日本は森林面積を除けば、そこまで広くはないはずなのに、しかし、こんなにも捨て去られた場所がひっそりと緑に埋もれて存在している事実に改めて驚き。 個人的に好き(No.14/No.68/No.121)2018/06/09