出版社内容情報
“諸行無常の響き”を聴きながら
滅亡と新生を繰り返す歴史の中に21世紀の今を問い直す、現代版『平家物語』絵巻
安野光雅美術館(島根県津和野町)開館5周年記念出版
“祇園精舎”から“女院死去”まで精密な絹絵と、書下ろしの文章で織りなす、安野光雅の華麗な世界、79場面・143章段を収録。
亡びることは、はかない。しかし亡びることは、新しいものを生みだすことでもある。歴史は滅亡と新生の繰り返しなのだから、詠嘆は、心をとりなおすために必要な、浄化の手段なのであろう。――<著者あとがきより>
※本書は、1996年刊『繪本 平家物語(特装愛蔵版)』を軽装にして再刊行したものです。
安野 光雅[アンノ ミツマサ]
著・文・その他
内容説明
“祇園精舎”から“女院死去”まで精密な絹絵と、書き下ろしの文章で織りなす、安野光雅の華麗な世界、79場面・143章段を収録。
著者等紹介
安野光雅[アンノミツマサ]
1926年、島根県津和野町に生まれる。1974年度芸術選奨文部大臣新人賞、ブルックリン美術館賞(アメリカ)、BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞(イタリア)、1984年国際アンデルセン賞、昭和63年紫綬褒章など、内外数多くの賞を受賞。2001年春、故郷に「安野光雅美術館」が開館した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Natsuki
66
安野光雅さんが描く絹絵と書き下ろしの文章で構成された現代版「平家物語」絵巻。カジュアル版と言いつつ、かなりのボリュームw(゜o゜)w 物語の中から選り抜かれた79場面。いわゆるダイジェスト版のような体裁なので、これを読むと「平家物語」をコンプリートできるわけではありません。雰囲気は掴めるかな。純粋に繪を楽しむのが良いですね。滅びの道を為す術もなく落ちていく平家の儚さに、ただただ見入ってしまいました(*´ω`*) 印象に残った繪は「祇王」「鹿谷」「大臣流罪」「文覚被流」「竹生島詣」「福原落」2015/09/28
毒兎真暗ミサ【副長】
29
1996年刊行。島根県に開館された安野光雅美術館。その五周年記念出版である。「祇園精舎」「女院死去」など多数の作品を収束。歴史の精緻を知っていれば知っているほど、悍ましさも華麗さも増す仕掛け。絹絵が魅せるその描写は、淡々と悠々と。残酷な歴史を炙り出す。2024/04/29
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
29
〈日本の古典を読む第九回:平家物語〉のイベントより♪「平家物語抄」と並行して読んだので抜けている題が補助されて良かった。安野さんの絵は不思議でコミカルなのが多いのだが、奈良炎上の絵などは迫力があり平家による圧感がよく現わされている。「平家物語」平家は他者を排除することで一族が成り立っていたがそんな時代は長続きしないと物語られている・・。2017/09/28
Tadashi_N
25
場面にあわせた描き方、美しくも哀しい物語世界を支えている。2021/02/20
クラムボン
16
先日読んだ『洛中洛外』では『繪本平家物語』のことに何度も触れていました。7年間も雑誌に連載されていたことを知るに及んでは、それも当然と思いました。安野さんの平家物語の世界は非常にオーソドックス。絵巻物のスタイルを踏襲しています。人物のアップは全く在りません。物語の情景を俯瞰で感情を交えずに描いています。特に『能登殿最期』の場面は、義経の八艘飛び・安芸兄弟を両脇に抱えた平教経の入水・熊手での建礼門院の救出 など見せ場が多いのですが、それらは一切描かず、ただ戦いを終えた静かな壇之浦の情景を描いています。2021/06/01
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