内容説明
「あたしも一座に」―歌吉、こと中橋広小路の駕篭屋赤松の娘・お吉は、踊りの師匠・水木歌仙率いるお狂言師一座に加えてもらうことになった。お狂言師は、大名家の奥向きにあがって狂言や踊りをご覧に入れる。胸の高鳴るような話の直後、事件は起きた。これからは、歌吉の名を立てて、生きていかなければならない。そんな折、歌吉は、何者かに連れ去られる…。直木賞作家が放つ長編時代小説。
著者等紹介
杉本章子[スギモトアキコ]
1953年、福岡県八女市生まれ。ノートルダム清心女子大学国文科卒業後、金城学院大学大学院修士課程修了。江戸文学を学ぶ。この修士論文の延長で書いた「男の軌跡」で、’80年に歴史文学賞佳作入選。作家デビューを果たす。’89年、「東京新大橋雨中図」で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れみ
50
お狂言師を目指す駕籠屋の娘お吉が御公儀の隠密から姉弟子のことを探るように命じられる…というのがメインのお話で、それがだんだんきな臭さを増していくのにハラハラしつつも、合間に出てくるエピソードにも心惹かれた。2015/05/31
蒼
24
シリーズ始まりの物語。町娘を隠密の手先に仕立てるさまがやや強引かなとは思ったものの、面白かった。日向がお吉を護り通すと決意していた事は嬉しかったが反面、自分を囲う殿様の子を産めるそれが男の子だったらと望みを持ったお吉の姉弟子、歌津代が哀れ。そしてこのシリーズが完結せずに終了している事もまた、哀し。2021/12/11
ドナルド@灯れ松明の火
19
杉本さんの歌吉シリーズ第一巻。狂言師という設定がなかなか面白い。短編の集まりと思っていたが、1冊で1話だった。顔を傷つけられた狂言師お吉は今後名探偵になっていくのだろう。次作も1冊1話なのかな?2016/08/21
ぶんぶん
18
【図書館】「信太郎シリーズ」に続いて狂言師・歌吉シリーズを読む。 こちらも、江戸情緒あふれ良い感じ。 大名家の奥向きで狂言や踊りを披露する「お狂言師」歌吉は水木歌仙の弟子である。 そのお吉がひょんな事から隠密仕事に関わる事に、姉弟子の歌津代の旦那を探れとの指令だが、良く判らない。 気丈なお吉が将来をお狂言師に生きる事を宣言し強く羽ばたくまでを描いた作品。 次があるとの事で今度はどんな冒険譚になるのやら楽しみ、一先ずは、老中水野忠邦絡みの話しは終わり。 お小人目付という公儀隠密の仕事が面白い。 2019/05/07
丸太
5
面白かった!陰謀と凶刃の中、狂言師歌吉が武家に入り込み大活躍。町屋娘の優しさと爽やかさも忘れず、好感。取り巻く人物も善悪問わず、なかなか魅力的。推理建てや展開も見事で読み応えあり、このシリーズも当たりだな(^o^)2016/08/27