内容説明
モザンビーク、アフリカの赤土が輝く美しい国土の地中に潜む、百万個とも五百万個ともいわれる数の地雷。戦争がもたらした負の遺産によって、十二歳で自らの両足と肉親を失った少女ソフィアも成長し、思春期をむかえていた。ひとりの男の子との出会いと義足をつけた我が身とのあいだで心が揺り動かされている彼女の前に、新たな悲劇が幕をあけた。アフリカのモザンビークでおきた現実の物語『炎の秘密』の続編。
著者等紹介
マンケル,ヘニング[マンケル,ヘニング][Mankell,Henning]
1948年生まれ。現代スウェーデンを代表する人気作家。児童向けから大人ものの推理小説まで幅広い作品を発表。’80年代半ばからモザンビークの劇団の支援を始める。『少年のはるかな海』(偕成社)でニルス・ホルゲソン賞、ドイツ青少年文学賞、『炎の秘密』刊行の翌’96年、児童文学における活動全般に対してアストリッド・リンドグレーン賞を受賞。モザンビーク在住
オスターグレン晴子[オスターグレンハルコ]
1958年生まれ。上智大学大学院中退。旧西ドイツとスウェーデンに留学。帰国後、新聞社勤務を経て、フリーランスの通訳・翻訳業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yos
2
『炎の秘密』を読み、児童書ではあるが主人公のソフィアの生き方に感動し、ソフィアのその後が知りたくて、読んだ。地雷で失った足に義足をつけ、ミシンを譲り受けて縫製の仕事も得、貧しいながらも順調に暮らしていればいいなと思った。けれど、運命はそれほど優しくはなかった。新たな悲劇、それはエイズ。大好きな姉を、今度はエイズで失いつつあるソフィア。過酷な運命に何故と問いかけても答えは出ない。それでも異性との出会いに心をときめかせ、一生懸命に生きる姿がすばらしい。2006/12/03
una viola
1
ヘニングマンケルの本で検索してヒットしたので、借りてみた本です。正直内容は全く知らないまま予約しましたが、とてもいいお話だった。 良いっていうと語弊があるけど、幻想的な語り口で、辛く悲しく、そして残酷な現実に直面している少女の生き抜こうという強い気持ち、希望を捨ててはいけないということを強く感じました。 児童書とは知らず借りましたが、大人でも十分読みごたえがあります。 最後には涙が出るほど切なくなりました。飽食の日本に生きるすべての人に、こういう現実もあるんだって知ってほしいと思いました。2012/03/23