内容説明
フジサンケイグループに突如襲いかかった堀江貴文と、必死に防衛する日枝久。しかし、その日枝自身、かつてクーデターによって鹿内宏明を追放した首謀者であった―。グループ経営の深奥に迫る。10年余りの取材、機密資料を渉猟した圧巻ノンフィクション。
目次
第1章 彫刻の森―鹿内信隆のつくった王国(ロックフェラーとヘンリー・ムーア;美術品を使った錬金術 ほか)
第2章 クーデター―鹿内宏明解任(謀議;「スリーハンドレッドクラブ」の序列 ほか)
第3章 抗争―日枝久の勝利(司馬遼太郎の祝辞;「ハイジャッカー」 ほか)
第4章 梟雄―鹿内信隆のメディア支配(前)(存在しない「社史」/鹿内写真館;信隆の実父/陸軍主計将校 ほか)
著者等紹介
中川一徳[ナカガワカズノリ]
1960年生まれ。フリーランスジャーナリスト。『文芸春秋』記者として「事件の核心」「黒幕」「悶死―新井将敬の血と闇」などを執筆。2000年に独立、事件、経済、政治などをテーマに執筆活動をつづけている。単行本は『メディアの支配者』が第一作となる
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感想・レビュー
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遥かなる想い
203
(中居くん騒動により、6年半ぶりに再読)第27回(2005年)講談社ノンフィクション賞。 堀江貴文による乗っ取りを企てられた フジサンケイグループの闇を追った作品である。鹿内家三代に支配されたフジサンケイグループと 日枝との闘い…そして 日枝たちによる クーデター…上巻は 鹿内家の栄光に 至るまでと 鹿内信隆の死後、日枝たちによる クーデターが 順不同に描かれる。2018/07/26
fwhd8325
60
このところフジテレビをめぐる報道から、この作品を知りました。上下巻の上です。すごく面白いです。怖いくらい面白いです。この先どうなるのか、それはある程度わかっているけれど、やはり気になります。ところで、フジテレビという会社は、軽佻浮薄なイメージでしたが、創立から、こんなにドロドロしていたとは驚きです、続いて下巻に入ります。2025/02/18
山口透析鉄
30
これも市の図書館本で。前半はまず、フジサンケイグループを支配する一族へのクーデターが詳細に描かれています。首謀者は結局フジテレビの日枝久だったようで、鹿内宏明という娘婿(興銀出身)の息の根を止めていく様が容赦ないんですが、ちょっとムラの中の権力闘争で、フジテレビも産経新聞も今となってはだいぶ傾いているので、どうだったのかな?という思いもします。興銀もみずほに入って…… 後半はフジサンケイグループが如何にしてのし上がっていったかの描写です。鹿内信隆の出生の秘密もありますが、まともな「社史」がないという。↓↓2024/12/06
ポルポ・ウィズ・バナナ
7
フジテレビって碌なもんじゃないんだな。メディア史というか、戦後保守(というか香具師)による興行史に近い。竹岡豊というリュシコフ殺害事件に関与していた元陸軍中野学校出身の人が社長やってたとか凄いな。「信隆、春雄から宏明へと続いた鹿内体制を打ち倒したのはいわば"宮廷クーデター"である。生きるか死ぬかの"殺し合い"を演じて権力を奪取した者は、その時点から必然、権力闘争という舞台の"虜囚"となることも歴史が教えるとおりだろう。2025/02/01
夜郎自大
6
水野→鹿内信隆→日枝に続くサンケイグループの経営乗っ取りの連鎖。戦後日本におけるラジオ放送、テレビ放送の業界設立の背景経緯をたどると、メディア業界はその出自から利権にまみれていたのがよくわかる。2014/10/18