内容説明
『ターヘル・アナトミア』翻訳への情熱とその苦闘。総ルビつき原文、著者オリジナル現代語訳つき。
目次
今時、世間に蘭学といふ事―蘭学の始まり
其頃西流といふ外科の一家―西流外科
又栗崎流といへるは―栗崎流外科
桂川家の御事は―桂川流、カスパル流、吉雄流の諸外科
国初より前後、西洋の事―オランダ語と通詞
これによりて文学を習ひ覚る事―江戸でのオランダ語学び始め
扨、翁が友豊前中津侯―奇人前野良沢
然れども其頃は―後藤梨春の『紅毛談』
又其のち山形侯の医師―オランダ語文字のこと
翁、かねて良沢は―西善三郎とオランダ語学習のこと〔ほか〕
著者等紹介
酒井シヅ[サカイシズ]
1935年静岡県生まれ。三重県立大学医学部卒業。東京大学大学院修了。医史学専攻。順天堂大学医学部教授を経て、現在同大客員教授。日本医史学会常任理事などをつとめる
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感想・レビュー
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たくのみ
8
江戸末期の鎖国下で新しい学問として近代医学・蘭学の誕生。「ターヘル・アナトミア」を一から翻訳する経過と、それを取り巻く状況。南蛮流、西流など多くの医術の流派はあったのだが、鎖国で技術が形骸化していて頼りにならない。フルヘンヘッド、シンネン…一つ一つ悩みながら、訳していく、苦労と喜びの過程を記録したエッセイだったのだ。2013/10/26
ジェリーわたなべ
1
恥ずかしながら、この本が書かれた経緯を初めて知りました。大変貴重なことを書き残してくださった杉田玄白翁に感謝申し上げます。2013/10/21
霹靂火 雷公
0
看板に偽りなく、遅読の私でも大きい活字の翻刻と詳しい現代語訳・解説のお陰で6日で通読。タイトルは誰でも知ってる『蘭学事始』の魅力を引き出し、古文好きでもそうでなくとも簡単に読破できる良著です。(ルビにオカシイ点が間々あるのはご愛敬。)2017/05/06
モレ
0
p60前野良沢は人がやらないことを望んでやるために奇人と言われていたが(省略)文法書も良い辞書もなく、学習をひとりでするにははなはだ困難であった。 p162翻訳、義訳、直訳2015/06/14
ソーシャ
0
杉田玄白の回想録『蘭学事始』の対訳。有名な『解体新書』のエピソードを中心に蘭学の黎明期が生き生きと描かれていて、原文でも結構面白く読めます。「後世に残す仕事を」という著者の思いが伝わってきました。2012/05/12
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