出版社内容情報
部落差別の壁に挑み、頂点まで登りつめる寸前、なぜ「影の総理」は躓いたのか?
権謀術数を駆使して政敵を叩き潰す恐ろしさと、弱者への限りなく優しい眼差し。本当の姿はどちらなのか?辣腕政治家の足跡を追った著者は、現代史の光と闇に到達した。
水平社宣言から80年余、差別と闘った政治家の軌跡。
日本はなぜマイノリティや「他者」に対して冷酷なのか?その中で、野中広務という政治家は、どんな手法と思想で君臨したのか?
内容説明
部落差別の壁に挑み、頂点まで登りつめる寸前、なぜ「影の総理」は躓いたのか?権謀術数を駆使して政敵を叩き潰す恐ろしさと、弱者への限りなく優しい眼差し。本当の姿はどちらなのか?辣腕政治家の足跡を追った著者は、現代史の光と闇に到達した。水平社宣言から80年余、差別と闘った政治家の軌跡。
目次
漂流する村
融和の子
祈り
青雲
田中角栄
転機
二つの顔
争奪戦
政治と土建
シマゲジ追い落とし
経世会分裂
落城
村山政権の守護神
恐怖の絆
勝者なき戦争
差別の闇
著者等紹介
魚住昭[ウオズミアキラ]
1951年熊本県生まれ。75年一橋大法学部卒業後、共同通信社に入社。87年から司法記者クラブに在籍し、リクルート事件等の取材にあたる。96年退社
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感想・レビュー
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takizawa
7
地方議員からの叩き上げで国会に進出し,差別と闘いながら権力闘争に勝ち抜いた稀有な政治家である。情報通で調整・交渉が上手いあたりは天性なのだろうなぁ。正直,まったく参考にならない。政界引退を表明し,最後の出席となった自民党総務会での言葉は涙なしには読めない。多くのマイノリティを勇気づけるのではないか。本書は,「もう1つの日本現代政治史」として読んでも面白いと思う。2012/02/25
半木 糺
4
野中広務という人物は「常に弱者の視点に立つ政治家」というイメージがある。実際著者も、そのような政治家像を最初は本書にて描きたかったのであろう。しかし実際は、野中という人間は権力を握るためならばどのようなことでも行う権力の亡者であった。確かに野中の原点には差別への激しい憤りがあるだろう。しかし、政治家としての彼は確固たる思想も理念も持ち合わせてはいなかったのである。なお、野中と北朝鮮との密な関係は知られているが、そのあたりの事情は軽く触れられているだけであり、その点、作者の恣意的な記述の偏りが感じられた。2016/04/17
桃園あるじい
2
政争の裏話の記述が多く、勉強になった。 このようなことの積み重ねで今の世の中があるんだろう。2019/04/06
山内 ダイスケ
2
日本は差別に鈍感だと想う 部落(同和)、アイヌ、、在日、沖縄 国内にはびこる差別を解決しない限り、世界平和に貢献もあるまい 昔、無役だった頃のA太郎氏が、自分の属する派閥の集まりで「野中など同和の出身者が総理になるなど、ありえまい、ハハハ」と馬鹿笑いしたのは有名な話。人権先進国ならその発言一つで政治家生命はとぶ。このA太郎は後に総理に上り詰め、今もアベの下で副総理で問題発言を連発中だ。日本が、人権更新国だとあい知れる。 野中氏の権力掌握主義を嫌うのもわからなくないが、保守リベラルの最後の砦ではあった 2017/09/26
テキィ
2
野中さんの本は2冊目。魚住さんの本も2冊目。境界線上で力を持ったという視点。しかし、図書館の本を数十ページ破る人間がいるとは。よっぽど気に入らない記述でもあったんだろうか。まだ、生々しい。近代史にはなってない話。そういえば、小沢裁判の無罪判決があったなぁ… 2012/04/26