内容説明
自分の生命は自分の知力と胆力で守る。最も原初的な真理を思い起こさせる、かずかずの「今は昔」の物語。総ルビつき原文。著者オリジナル現代語訳つき。
目次
1 国王、百丈の石の率堵婆を造りて工を殺さむとせること(巻十の第三十五話)―阿吽の呼吸
2 天竺の優婆崛多弟子を試みたること(巻四の第六話)―悟りを得る
3 女、医師の家に行きて瘡を治して逃ぐること(巻二十四の第八話)―かけひき上手
4 美濃国の因幡河水出でて人を流すこと(巻二十六の第三話)―果敢な挑戦
5 近衛の舎人ども稲荷詣して重方、女にあふこと(巻二十八の第一話)―浮気の確認
6 源頼信朝臣の男頼義馬盗人を射殺すこと(巻二十五の第十二話)―武士の魂
7 近衛の舎人の秦武員物を鳴らすこと(巻二十八の第十話)―とっさの一言
8 人に知られぬ女盗人のこと(巻二十九の第三話)―魔性の女
9 豊後の講師謀りて鎮西より上ること(巻二十八の第十五話)―弁舌の力
10 平定文本院の侍従に仮借すること(第三十の第一話)―恋のベテラン
11 鎮西より上りし人観音の助けによりて賊の難を逃れ命を持てること(巻十六の第二十話)―連携プレイ
著者等紹介
山口仲美[ヤマグチナカミ]
1943年静岡県生まれ。お茶の水女子大学卒業。東京大学大学院修士課程修了。文学博士。埼玉大学教授。第3回日本古典文学会賞、第12回金田一京助博士記念賞を受賞。古典の文体、擬音語・擬態語の史的推移などを研究
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感想・レビュー
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がらくたどん
37
口承文芸からの流れで。昔ばなしが子どもも聴く事への若干の配慮を感じるのに対し、説話は大人の愉しみ。自分は本朝の世俗・悪行がやっぱり好き。本書は1040話の中から11話(プラスα)をセレクトし、総ルビ原文と現代語訳を筆者が解釈しつつ話を膨らませてくれる趣向。説教ぽい話は避けて全体として今昔女性活躍セレクションという感じなので、本当に「すらすら」楽しめる。重方の浮気未遂噺とかすごく面白い。美女(実は妻女の変装)の上品な言葉遣いが重方のナンパ発言を境に罵り口調に激変する辺りの解説は古文学習の最高のお手本です。2022/03/28
あきあかね
25
「見栄も体裁もかなぐり捨てて、どうしたら生きられるかといった、ぎりぎりのところで、精一杯知恵をしぼり、持てる力を最大限発揮して生きていく人間たちに、わたしはこの上なく共感を覚えた。以後、気分が滅入っているとき、しばしば紐解き、元気の素をもらう愛読書になった。」 日本、中国、インドの1,040もの説話を収めた『今昔物語集』。本書では著者の選り抜きの11の話が盛り込まれている。 降りかかった災難に対し、「どのみち死ぬなら、やってみる」というチャレンジ精神が今昔物語集の根幹を流れる思想であると⇒2020/04/09
itokake
19
2022年の目標の一つが「今昔物語を読む」。いろんな本が出ているが、これを初めに手に取って正解だった。1040話もある中から、厳選した11話に魅力が凝縮。大学1年から愛読していた山口仲美氏の解説が、本文に匹敵するほど面白い。今昔物語は未完で著者不明の名作。山口氏はこう推理「大寺院に所属していた無名の坊さんが、毎日説話を書いては数年間を充実して過ごしていた」、その時代は平安末期。原文は見つかっておらず、現存する最古のものは鎌倉時代中期の写本。奈良の寺院に埋もれていた名作を持ち出し、写してくれた人に感謝。2022/02/01
Ryoichi Ito
9
今昔物語集は平安末期に成立。インド,中国,日本に伝わる説話を1040話集めたもの。作者不詳。庶民の生活を漢字仮名まじり文で記す。古来あまり評価されることがなかったが,人々の生活を鮮明に解き明かすところから,現在では文学的,資料的に独自の存在価値を発揮していると山口氏は述べる。本書は11編の説話を原文と現代語訳,解説で紹介している。さすがに「すらすら読める」と言うわけにはいかないが,「源氏物語」に比べるとはるかにわかりやすい日本語だ。著者の好みかもしれないが,女性が活躍する話が多い。昔も女性は元気だった。 2021/11/28
gollum
7
とにかく、山口仲美先生のセレクションがいい。今昔1040話から、とびきりおもしろいものばかりが選ばれている。今昔の中ではかなりの「長編」である、「不被知人女盗人語」の解説がすばらしい。ホラー・ファンタジーマニアとしては、「近江国安義橋鬼噉人語」あたりも欲しいところだが。学校の図書室で中高生に薦めても”おもしろいっ!”と喜んでもらえる、「すらすら読める~」シリーズ中の傑作。2013/04/25
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