内容説明
江戸・深川。過去を秘めた心やさしい木戸番小屋夫婦のもとに、今日もひっそりとやって来る男たち、女たち。珠玉の時代小説シリーズ第四作。
著者等紹介
北原亜以子[キタハラアイコ]
1969年「ママは知らなかったのよ」で第一回新潮新人賞、1989年「深川澪通り木戸番小屋」で泉鏡花文学賞、1993年「恋忘れ草」で直木賞、1997年「江戸風狂伝」で女流文学賞をそれぞれ受賞
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感想・レビュー
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kazu@十五夜読書会
46
深川澪通り木戸番小屋シリーズ第四弾。 女のしごと・初恋・こぼれた水・いのち・夜の明けるまで・絆・奈落の底・ぐず 全八話。『初恋』女癖の悪い出来損ない息子に武家からまだ幼い娘紫野を、親戚の不始末の借金を理由に嫁と迎えた甲州屋、10年辛抱するが・・・店を飛び出し鼻緒が切れはだしで歩く紫野は労咳の年松に『困った時は、お互い様じゃありませんか』と声をかけられる。優しくされた紫野にとって初めての恋だった。おしずと名を変え長屋に住み始めるが、紫野の兄・そして甲州屋が・・・⇒2013/04/11
ソーダポップ
20
深川中島町の木戸番夫婦、笑兵衛とお捨てを中心に、そこに暮らす人々の営みを描いた人情時代小説。「深川澪道り木戸番小屋」シリーズ第4弾である。シリーズ4作を読んだが、この作品が1番心に響いた。愛情のない結婚生活に破れた女たちが3編描かれているが、婚家を去った訳は夫の不実とは似通ってはいても、現在の生き様の違いが興味深い。私個人は、第4話の「いのち」の木村寛之進を殺さない欲しかったのは願ってもやまない。2024/04/14
ますずし
3
シリーズ第四巻読み終えました。今回はどのお話もいい方向に向かうように終わっています。どんなに辛い日々でも明けない夜はないのです。2014/06/25
にゃるび
2
連続で読んでしまった。最後のぐずが一番泣けた。こういう想い人を長期間待つって設定に弱いです。お捨と笑兵衛みたいな、色んな人に愛される夫婦は憧れます。2013/03/08
ひろゆき
2
江戸、深川、木戸番小屋の明るくて穏やかな夫婦と接点を持つ人たちが登場する連作短編集。このシリーズ初読。さしたる事件が起きるわけではなく、市井の人たちのちょっとしたこと、苦労、悲しみ、喜びを淡々と述べている感じ。第一話『女の仕事』が特におもしろかった。ただ、視点の変化などか分かりにくいなど、多少、読むのにストレスを感じた。2012/05/20