内容説明
小津安二郎の代表作、『東京物語』で助監督をつとめた作家・高橋治が伝説の巨匠の生涯を鮮やかに蘇らせたノンフィクション・ノベル。カメラマン厚田雄春ほか、笠智衆や岸恵子、篠田正浩、大島渚など、生前の小津を知るゆかりの人々を訪ね歩き、多くの文献に基づきながらも、あくまでも高橋治自身の眼で見た小津、セットの空気を一緒に吸った小津を語る。出色の小津論として評価された幻の名作が、小津安二郎生誕一〇〇年に際して復活!小津のシンガポール時代を書いた短編も併録。
著者等紹介
高橋治[タカハシオサム]
1929(昭和4)年、千葉市に生まれる。金沢の旧制第四高等学校を経て、東京大学文学部国文学科を卒業。1953年、松竹に入社し、小津安二郎の『東京物語』の助監督などをつとめる。1960年、『彼女だけが知っている』で監督としてデビュー。以後、映画監督と脚本執筆を並行していたが、1965年、松竹を退社し、本格的な執筆活動に入る。1984年、「秘伝」で直木賞を、1988年、『別れてのちの恋歌』『名もなき道を』で柴田錬三郎賞を、1996年には、『星の衣』で吉川英治文学賞を受賞
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感想・レビュー
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ヤベちゃん
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A2015/05/28
yokmin
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映画鑑賞は、ストーリーと映像を深読みせよと主張しているようでもある。 (あとがき)より ・・・若さは始末に困るもので、自分のおろかさを見抜く眼を閉じさせてしまう。・・・助監督である上に、編集には異常な執着を示す小津(監督)が相手のことだから、反吐をはくほどラッシュを見ることになった。いま思い出しても悪夢に近い退屈きわまる時間であった。・・・この作品は、その愚かな青年が『東京物語』(映画)にねじ伏せられて行く様を語った作品である。 2012/05/12