内容説明
侍三人が拝領屋敷に居座った。先例にならえば屋敷は収公、江戸中がてんやわんやの騒ぎになる。困った年番与力は、半次を呼び出した―。
著者等紹介
佐藤雅美[サトウマサヨシ]
1941年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。1985年、処女作『大君の通貨』で第4回新田次郎賞、1993年、『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する
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感想・レビュー
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文句有蔵
4
面白かった。本作でシリーズ四本目であるが、一作、二作と続いた冗長な長編が、三作目からすっきりとした連作形式に姿を変え、四作目の今回更に洗練されていて大変読みやすかった。作中の人物が自由に泳いでいる。思えば最初の二作は作者の語りが強引に過ぎて、作者の作り込んだ小さな箱庭の世界で、登場人物が筆によって無理に動かされていたように思う。書き慣れたのか指導があったのかはわからないが、読み手にとっては大歓迎の変容だ。その代わり推理小説としての質は落ちてしまって、「三人組の暴漢」の決着がついていないのは残念。2014/08/14
ちゃこ
4
半次捕物控シリーズ第4弾。【初出『IN☆POCKET』2002年5月号〜12月号】8話収録。 文政12年(1829)梅雨〜師走。半次にとっては"疫病神"の蟋蟀小三郎はあちらこちらの事件に首を突っ込んで金儲けを企んだり、半次は関わりたくない事件に巻き込まれて解決を余儀なくされたり、と相変わらずの2人ですが今度はお志摩の不義密通疑惑が…。 なんだかんだ言ってても小三郎ったら半次のこと好きなんでしょ、と思わせる場面もあって思わずニヤニヤしてしまった。 /[2014ー147]2014/07/24
沼田のに
2
河内山宗春も裸足で逃げ出すような豪放磊落男小三郎が主役を食ってしまうような勢いで面白い。反面志摩が何を考えているんだか、女心は解からない。しかし書いている作者は男なので解かるはずだが解からん。主役が岡っ引きなんで割合常廻り同心に関係なく独立採算制で勝手にやってるのねえ。7/102014/06/08
もぐを
1
シリーズ4作目。蟋蟀がやっとおとなしくなりそうな気配。志摩との関係は相変わらず掴めないなぁぁ。元々半次は志摩のことを好きではないはずだしなぁぁ。2016/01/28