雲南の妻

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062114592
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

この契りは永遠に…。女が女を娶る。中国雲南の奥深い地で過ごした忘れ得ぬふたりの愛の生活。奇妙な同性婚、傑作長篇小説。

著者等紹介

村田喜代子[ムラタキヨコ]
1945年、福岡県北九州市八幡に生まれる。現在同県中間市に居住。75年『水中の声』で九州芸術祭文学賞受賞を機に文筆活動に入る。87年『鍋の中』で芥川賞、90年「白い山」で女流文学賞、98年「望潮」で川端康成文学賞、99年「龍秘御天歌」で芸術選奨文部大臣賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なゆ

70
かつては中国雲南省の南端の少数民族では女性同士の同性婚もあったのだろうか。中国に赴任した夫についていった敦子は、通訳として雇っている若い少数民族出身女性の英姫から求婚されてしまう。恋愛感情からではなく、でも全くドライでもない。日本人の夫と、若い妻の英姫との3人の生活。でも夫は日本人だからな~、一旦は認めてもいつまで続くかな~とか思いながら読む。少数民族の村々の女たちの茶摘みの様子は想像するに楽しく、その地のこだわりのプーアール茶の描写は匂い立つよう。終盤の急展開に、この結婚も夢だったような気がしてしまう。2016/03/13

いろは

42
読友さんのレビューを拝見して、興味を持ち手に取った本。中国雲南省の不思議な習慣、女性同士の結婚。男性に縛られず、働き手を増やす目的らしい。でも、一夫一婦制が当たり前の日本人には、馴染めなくて当然の結末かな。小説なんだけど、ノンフィクションのようで、それでいて少しファンタジック。雲南省に行きたくなる、あとすごく中国茶が飲みたくなる本でした 笑。★★★★2019/08/19

松本直哉

26
儒教と規律と進歩の好きな北京から遠く隔たった雲南という土地だからこそ、このような女たちの王国が可能なのだろうか。がさつで不器用で怠惰な男たちを捨てて、女たちが互いに助け合い知恵を出し合いともに働く、その窮極の形が女性同士の結婚。すでに夫のいる敦子と、少数民族の通訳者英姫の、母娘でもなく姉妹でもなく親友でもなく、しかし少しずつそれらのいずれでもあるような魂と肉体の交感が印象的。夫智彦の当惑と嫉妬と独占欲が、むしろ子供っぽく馬鹿げているように見えてきてしまう。以前読んだ『女たちの王国』の世界を思い出した。2023/11/19

豆乳くま

24
乙嫁語りの姉妹婚から。直後古本屋でこの雲南の妻を見つける。運命を感じる時。商社マンの夫と共に中国南部雲南に赴任する夫婦に通訳として雇われた少数民族の娘、英姫。そんな彼女と彼女の民族にはポピュラーな同性婚をする妻。一組の日本人の夫婦と女性同士のもう一組の方夫婦が一つ屋根の下に。烏龍茶や藍染など中国南部の特産品とそれを守る少数民族。その民族の独特のしきたり。悲しい最後ではあったが夢の中のような話と淡々とした文体が不思議な雰囲気で素敵だった。2015/07/20

あ げ こ

16
楽園であり、理想であり。桃源郷。穏やかで、自由で、鮮やかで、豊潤で、多彩で、活発で、剥き出しで。普通などなくて、何も飾る必要がなくて、幻想や建前を用いて隠す必要もなくて、生きたいように、生きやすいように生きて行ける。風のように軽い結婚。何て楽しい。女と女が築き上げた、堅固な城。花のように、美しく、豊艶に。強く、逞しく、動き、働き、遊び、歌い、思うままに生きていた、あの時間。妖しく、けれど清澄な、あの交歓。健やかで、明朗で、切実な、あの結び付き。それは考える度。胸を温かに満たすもの。生を柔らかに癒やすもの。2017/12/08

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