内容説明
待望の村上春樹訳“空飛び猫”の魅力的な世界、再び。ル=グウィンの描く女性の自立と成長。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
77
追悼ル=グイン。農場に隠れて暮らす生活より、まだ見たことのない世界を知る楽しさを取ったジェーン。危険な目にも遭ったけれど、意地悪で自分勝手な人間ばかりではないことも知る。空飛び猫ジェーンを通して描かれた女性の成長と自立。猫に託して提示されている人種差別やジェンダー問題は、ル=グインが終始訴え続けていたこと。村上春樹の訳と解説が素敵だ。2018/01/24
吉田あや
73
空飛び猫たちの中でもとびきり愛おしいジェーンの自立を描いた第四弾。本を開くと、丘の上農場の納屋で勢ぞろした猫達がまったり極まれりなお昼寝風景。この上なく猫らしい姿に笑いながら一気に和む。そんな幸せな光景も、好奇心満開なジェーンにとっては退屈に映り、自由と新しい冒険を求めて旅立つ決意を固め、早速未知の世界へと翼を広げる。困難や失敗に直面しても、諦めず、怯むことなく突き進むジェーンの逞しさに、ル=グウィンが込めたメッセージは強く、温かく、胸に灯る。(続↓)2019/02/22
ぶんこ
58
空飛び猫シリーズ4作目でした。 知らずに読みましたが問題なし。 末っ子のジェーンが農場の生活に飽きて、せっかく翼を持っているのに冒険に出ないなんて・・と旅立ちます。 都会に着き、優しいと思ったボッパさんに見世物にされ、逃げ出した先には猫母さんのミセス・タビーと優しいと人間のおばあさんがいました。 お母さんに会えて、一緒に暮らせるようになって、冒険は成功かな。 村上春樹さんの解説が丁寧で良かったです。 そうかジェーンは黒人の女の子で、他の兄弟とはお父さん違いだったのですか。2016/02/01
momogaga
57
【おとなこそ絵本】空飛び猫のファンタジーもの。作者の俗物な人々への批判精神には共感できます。最後に村上春樹さんのちょっとひねった訳も面白いですよ。2021/08/25
shikashika555
51
すてきなお話。すてきな読後感。 原文のタイトルが"JANE ON HER OWN"でこれまた印象的。 理解ある庇護者と共にのどかな生活を送ることに物足りなさを感じ、冒険に出た先で不本意なことに巻き込まれる。 よくある帰結としては「最後にはやはり住み慣れた場所に戻り、幸せに暮らす」となるのだが、ジェーンは違うのだ。 ちゃんと住処をみつけ、そして元の生活とも繋がりを持ち続ける。 ジェーンのこれからが、幸せでありますように。2023/01/05