内容説明
世界一奇妙な軍隊―自衛隊。だが、この心地よさは、一体なんなのだろう。自らの体験を綴る青春グラフィティ。感動の最新作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
39
軍隊から自衛隊になり、いったい何が変わったのか。変わらないものはなんだろうか。個々の歩兵は、変化について何を思うのか。一歩兵にスポットをあてて、日常を描きつつ、自衛隊の在りように迫る。心情の深いところまで探っていく。これは、経験者じゃないと書けない。いろんな矛盾を感じながらも、誇りを持たなければならない。難しい2018/12/23
ちゃんみー
36
戦争ものかと思って借りてきた為に、読み始めてからもどうもピンってこなかったんですが、1970年頃の自衛隊のお話でした。と言っても、これはどう考えても軍隊っぽいです。昔の自衛隊っていうのは、やはり軍隊の考え方をひきづっていたんでしょうねっ。街中の若者が騙されて(?)入隊したはいいが・・・そこでのあれこれが書いてありました。今はだいぶ違うんでしょうね。2013/04/29
りょう君
10
浅田次郎が自らの自衛隊に入隊した体験を短編小説にしたもの。時代は高度成長の1970年ごろ。憲法9条のもとで軍隊でない自衛隊で軍隊のような規律や訓練、上下関係や生活様式を描いている。若者の目から見た自衛隊内部を面白おかしく描いている。「歩兵の本領」では満期除隊を意思表示した主人公と留意する隊員を描いているが最後に浅田自身の思想がよく出ていた。「銃も剣も国に返したが、返納してはならぬ歩兵の本領を老いても尽きぬ背骨に刻みつけた」本文より2015/05/02
ゆっこ09
10
1970年代、高度経済成長の中での自衛隊内部の短編集。自衛隊の中でしか分からない暴力による支配、連帯感、命への心意気。厳しい訓練そして上下関係の中にも、人としての温かさをどの登場人物にも感じ取ることができた。なんとなく読むのを後回しにしていたけど、読んで良かった。2015/03/10
Ted
10
単行本の装丁が秀逸。このデザインがもし目に留まらなかったら、この作家とは一生、縁がなかったかもしれない。実際に読んでみて、文章はもちろん、話の展開や読ませ方が実に巧みで感心した。本の中身ばかりで、装幀に言及している人がいないので敢えて書くが、ジャケットだけでなく、本体の表紙・背・裏表紙から栞紐に至るまで「深緑色」で統一されている。・・・これは陸上自衛隊の制服の色に因んだ遊び心なのだと途中で気づいた。最近はこういう凝った本が少ないので、内容よりも装丁に感動してしまった。装幀者は「鈴木成一デザイン室」とある。2010/12/17
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