内容説明
芸術と、ひたすら美しいものだけを愛しつづけた伝説のバイエルン国王―華麗にしてスキャンダラスな生涯。
目次
1 激動の時代に生まれて―一八四五‐六四年
2 若きバイエルン国王の誕生―一八六四‐八〇年
3 気まぐれな王の旅
4 ルートヴィヒと女性たち
5 いまいましい戦争とドイツ帝国
6 ワーグナーのパトロンとして
7 夢想王の城館
8 病んだ王弟オットー
9 ルートヴィヒ最後の一年―一八八五‐八六年
著者等紹介
シャート,マルタ[Schad,Martha]
1939年ミュンヒェンに生まれた。アウクスブルク大学で歴史学と美術史を修め、1988年に博士号取得。現在フリーのライターとして活躍し、歴史上の有名女性を親しみやすく描いた読み物で幅広い人気を得ている。著書に『バイエルンの王妃たち』、『歴史を動かした女性たち』、『皇妃エリザベートの生涯』(西川賢一訳、集英社文庫)などがあり、『コージマ・ワーグナー/ルートヴィヒ2世往復書簡』の編纂にもあたった
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
51
ノイシュバンシュタイン城へ行く前に予習の為に読みました。ルートヴィヒの生涯はこんなにドラマチックなのに、あまりこの王様を描いた小説を見つけることが出来ずに焦りました。ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ルードウィヒ/神々の黄昏」という映画をずいぶん前に観た時の印象が強くて、ヘルムート・バーガーやロミー・シュナイダーの顔がこの本を読みながら思い浮かんでしまいました。こんな王様だったら国民は堪らないなと思う反面、この王様の御蔭で素晴らしい建築物が後世に残ってこの目で観る事が出来るのだから、複雑な気分です。2014/03/27
yapipi
3
ルードヴィヒ二世は美"Schönheit"を何よりも愛し、全てに優先させ、そのために巨額の資金を投入した。放浪者ワーグナーを庇護し、新作オペラを一人で観劇し、時代遅れだが美しい城を建てそこに引きこもった。それが出来たのは彼がバイエルン王だったから。何とも幸運で幸福な人生だったのではないか?プロイセンとの葛藤や王権を奪われたりしたが、それは晩年の些事だ。ルードヴィヒ二世こそ誰にも真似出来ない形で自己実現を果たした稀有の人だったと思います。この本はいつかドイツ語で読めるようになりたい!2025/03/13
O
1
新婚旅行でノイシュバンシュタイン城に行き、ルートヴィヒ2世に興味が出たため手に取った。 彼の全ては空想の中に入り込んでその中の住人になりたいということだったのだ。活きた現実の中には、彼の居場所はなかった。 2024/11/07
アネモネ
1
ノイシュバンシュタイン城を作り、狂王と呼ばれ、エリザベートの従兄弟であるルートヴィヒ2世の生涯。ワーグナーへの支援、美しい城の建築。美しいものへの確かな造詣は、時代を経て継がれている。狂王のネーミングで興味を持ったが、そのレッテルから想像されるほどスキャンダラスでも暴君でもないように思えた。2021/09/15
佐月
1
ワーグナーの芸術に心酔していた王として興味をそそられ、ルートヴィヒ2世について知りたくなり本書を手に取った。本書ではルートヴィヒ誕生から湖での自殺に至るまでの流れが物語のように記されている。 ルートヴィヒ2世に関する日本語の本は意外と少ないように感じる。彼の生涯がどんなものであったのかを把握したいという人にはおすすめ。ルートヴィヒが書いた手紙や詩も幾つか紹介されており、その文章からなんとなく彼の人柄が伝わってくるようで面白かった。2020/11/24