内容説明
「生類憐れみの令」下の江戸・向島の外れ、森に埋もれた隠れ宿「やみとり屋」では、万七郎と春之介が、鳥を焼いて、浪人や無頼の徒に食べさせている。露見したら死罪も覚悟の危険を冒す彼らは、「剣の力に対して言葉を武器に」を標榜し、御蔭参りに共鳴して公儀に刃向かった。
著者等紹介
多田容子[タダヨウコ]
1971年、香川県生まれの尼崎市育ち。京都大学経済学部在学中から時代小説を書き始め、時代小説大賞に応募。第7・8・9回と3年連続して最終候補に残り、期待と注目を浴びる。第8回の最終候補作「双眼」を大幅に書きかえ、’99年5月に刊行、作家デビューを果たす。2000年3月には「柳影」を刊行、若き剣豪小説作家の誕生と注目される
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆりあす62
43
図書館本。★★☆☆☆ 綱吉の生類憐れみの令の下、人の命より犬や鳥の命が重いとされ憤り一泡ふかせようとする江戸の町人たち。大阪弁でボケとツッコミを使いこなす主人公二人の話術はまるで漫才。誰が味方で誰が裏切り者かは読んでのお楽しみ。2016/01/30
星落秋風五丈原
13
元禄犬公方と呼ばれた綱吉の時代。「生類あわれみの令」のせいで 暗い江戸。ヤミで鶏を食べさせる「やみとり屋」があった。メンツへの試験はなんと「踏み絵」ならぬ「踏み犬」。言葉で相手を言い負かす「言部流」の師匠を名乗る潮春之介は関西の実家から金を盗んで今は「やみとり屋」のあるじ。 友人の吉本万七とはボケとツッコミのコンビネーションが抜群。 ところがある時から店で世直し論が囁かれるようになってから にわかに身辺が騒がしくなってしまう。関西弁が吉本を見ているようだなぁと思ったら巻末にダウンタウンを参考にしたそう。 2005/07/19
りんふぁ
1
語部流、面白い(笑)ダウンタウンの掛け合いを参考にしたというので興味を持ち。意外と違和感ないもんだな。2014/07/27
Eikiti Eikiti
1
面白い と言うか 頭いいなって本 多田さん好きには いいかも2009/10/24
よう
1
言論術ってとこ面白いとは思うんだけど、(特に一番最後のページに書かれた謝辞には驚きました)。一人称で書かれているのが何か合わない感じがして・・・「俺は~」という地の文には最後までなじめなかった。2010/04/24