内容説明
栄西に仏道を学び、前生は中国の僧であったと信じる実朝は、将軍の身で中国に渡るべく船の建造を命じた。時代の転機に立つ者を描く歴史小説。
感想・レビュー
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saba
1
「姉上はやはり男の野心というものを御存知ない」。いいね~!男の野心と女の覚悟。将軍実朝は和歌や蹴鞠を好み宋へ船出したいと願う所謂ロマン主義で、源氏の嫡流にも関わらずそのような気質というのは小説家のツボにはまるのかもな。頼朝を担いで文字通り命懸けで鎌倉を築き、所領≒地位且つ生活基盤が何より大事な殺し合い父親世代と、対平家総力戦未経験のインフラ整備後生まれ息子世代では大事なものの順位が異なることもある(大河鎌倉殿でも描かれている)。将軍の地位を擲って悔いぬ、宋へと願う実朝に怒るというより傷つく小栗義時見たい。2022/08/16