内容説明
いま、百年以上かけてつくった国家のイメージが、亀裂の入った鏡のようになった時、われわれ日本人は、しばし辺りを、時間と空間を超越して見渡さねばならなくなった。中国の春秋・戦国の時代を、ヨーロッパの中世を、つまり近代国家成立のはるか以前、国家というものの面影が人々の目に判然としない時代に目を転じ、歴史の時空を思いきり遊泳するとき、二十世紀を生きてきたわれわれの、全く忘れかけた世界が展開してくる。ヨーロッパとアジアという二大陸に生きた近代以前の人間群を、小説の中に蘇生させ、三、四百年を跳び越え、三千年、四千年を振り返ると、そこに何があったか。それは驚異的な現代との近似だ。
目次
第1章 二十一世紀に甦る時代小説
第2章 酒見賢一と佐藤賢一
第3章 宮城谷昌光
第4章 時代小説・百花繚乱
第5章 羽山信樹と高橋直樹
第6章 宮本昌孝・火坂雅志・塚本青史
第7章 女性作家の新しい魅力
第8章 二〇〇〇年の大収穫
著者等紹介
中島誠[ナカジママコト]
1930年7月2日東京生まれ。早大英文科卒。文芸評論家。主要著書に『司馬遼太郎と丸山真男』『隆慶一郎の世界』『時代小説の時代』『江戸商人の知恵襄』。代表作に『藤沢周平論』
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感想・レビュー
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- 和書
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