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内容説明
英国による植民地支配、輝かしい独立と経済成長を経て、失業や貧困、エイズや「テロ」に脅かされる現在まで、一族が直面した近代の荒波とは。農園労働者、サーバント、宣教師、兵士、新興宗教の教祖と様々な形で生き抜いてきた彼らの苦闘と創意を20年に及ぶフィールドワークで明かす。
目次
プロローグ ミレニアムの暗い幕開け
第1章 動乱の西ケニア―オデニョ一族のはじまり
第2章 白い世界との出会い―呪医オデニョの葛藤
第3章 ミッションボーイの行く末―オグソの夢
第4章 屋敷勤めのダブルスタンダード―ケヤの遍歴と達観
第5章 サーバントから職人世界へ―エブガの漂泊
第6章 白い軍退への志願―ムラゴの新たな故郷草創
第7章 独立ケニアの出稼ぎライフ―ソバとナイロビの単身男性社会
第8章 構造調整時代の悲鳴―オディンガとアンビチェ兄弟の岐路
第9章 村のメシア―小オデニョの信仰共同体
エピローグ 絶望のなかの光明―オデニョ一族の二十一世紀
著者等紹介
松田素二[マツダモトジ]
1955年生まれ。ナイロビ大学大学院修士課程を経て、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、京都大学大学院文学研究科教授。専攻は社会人間学。主著に『新書アフリカ史』(共編、講談社、1998年度NIRA東畑精一記念賞受賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★★★★★
3
ある一人の呪医を始祖としてケニアに生きる一族の100年間を、彼らのライフヒストリーを書き連ねることで群像劇的に記述した民族誌。グローバルな力学に翻弄される「未開」の人々を、援助を必要とする可哀想な人々としてではなく、厳しい情勢を領有しながら巧みに生き抜いてきた、尊敬すべき我々の同時代人として描き出す作品です。個人的には、かつては柔軟で流動的であったアフリカ人の帰属意識が、植民地支配の過程で固定的で排他的な民族意識に変容してしまったという指摘に考えさせられるところがありました。2010/04/08
カネコ
0
◎2012/05/10
レフ
0
ケニア版「百年の孤独」2010/06/28
Maumim
0
「呪医」のタイトルに、てっきりケニアのMgangaについての研究所かと思いきや・・・確かに最初の祖先はMgangaであったけれども、本書で描かれるのは彼女から始まる一族の系列に連なる人々の、あくまでも個人の物語。19世紀末から21世紀の始まりまでのケニアの社会の変化に応じて、生活は変わり、生きる場所も職業も変わり、コミュニティーも変容していく。筆者が長年にわたり調査してきたのはケニア西部のケロンゴ村のマラゴリ人の一族。ケロンゴ村もマラゴリ人もわたしのケニア知識にはないのだけれど、本書に頻繁に出てくるローカ2020/10/11