内容説明
総理を動かし世論を操る「一千万部」の独裁者。力ある者は籠絡し、敵は必ず叩きつぶす。東大の共産党時代から読売新聞社長にのぼりつめるまで、稀代のマキャベリストはいかに権力を奪取したか。児玉誉士夫、中曽根康弘との蜜月、社命を帯びた政官界工作、日韓条約交渉での暗躍―徹底取材で明かす裏面史の全貌。
目次
第1章 反逆児
第2章 敗戦と東大細胞
第3章 運命の山
第4章 番記者
第5章 KCIAの密使
第6章 暗闘
第7章 狂気と忠誠心
第8章 国有地争奪戦
第9章 社会部帝国主義を打倒せよ
第10章 お家騒動
第11章 異端排除
第12章 王国の継承
第13章 野望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
4
新聞は毎日新聞しか購読するな、という家訓の由来が少しわかった。
テキィ
4
先代や、その前にも老いた権力者としての立ち振る舞いが似ている点が面白かった。巨怪伝読むべし…2012/02/23
nizimasu
4
ナベツネという人物がなぜ新聞王として君臨しているのか。足跡を追いつつ権力を人が持ったときの立ち振る舞いや敗れ去る政治家の権力闘争も同時に描いた佳作。やはり、戦後という時代ならではのバイタリティを感じるとともに、そこはかとなく感じるうさん臭さもまた日本のメディアの持つ特性なのかもしれない2011/06/29
のん
3
"天皇制軍国主義に反発しながら戦時下の青春を送り、敗戦後、天皇制打倒のため共産党に入った。彼が東大細胞で提起した「主体性論争」は個人の自由と尊厳を高らかに謳い、反体制運動組織の中にひそむ全体主義体質を鋭く告発するものだった。 それから半世紀あまり、かつて誰よりも自由を愛した哲学青年は、国家の論理をふりかざして記者たちの言論の自由を脅かす巨大な権力者に変身した。そして彼は「国家と対峙する新聞」から「国家と一体化する新聞」へとジャーナリズムの理念そのものまで変えようとしている。" 377頁2024/06/24
ばんだねいっぺい
3
天皇制を否定していた者がマスコミの天皇になったは、強烈な一文。2015/08/25