内容説明
上杉健二は住倉物産の敏腕トレーダーとして、注目を集める存在だった。しかし、赤字補填を目的にした、ただ一度の簿外取引が命運を分ける。市場を攪乱する上杉を苦々しく思っていた、ロンドンの国際金融街「シティ」の守護神・ブランド老人。この簿外損失を知るや、彼のもとに一人のトレーダー、グレインジャーを送り込み、ヘッジ・ファンドとも連係する。簿外損失を膨らませる上杉。いっぽう、住倉物産が出す損失に反比例して、「シティ」の名門トレーダー、米国のヘッジ・ファンド、ロンドン国際金属取引所などは、天文学的な金額を稼いでいった…。「シティ」とヘッジ・ファンドに押しつぶされ、搾り取られる、日本企業と日本人の運命は。