内容説明
平安遷都の光と闇。稀代の悪女か、薬子をめぐる愛と王権の行方を描く傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春
8
安殿親王に尽くす薬子の姿が、そのままダメ男に尽くす現代女性に重なり、女性が読むとかなり親近感の得られる作品だったと思う。藤原四家の権力争いは普通の歴史書読むのはちょっと…という私に分りやすく藤原式家の没落と北家の台頭を読ませてくれました。2014/05/13
しんすけ
7
物語も終わりに近づいたころ、薬子の長女である長子が語る言葉が印象的だ。「母君は、無明の方ですね」長子は尼僧であるが、母に無明の意味を明かす。「全然悟れない人のことですよ」ある意味では薬子は人間らしく生きようとして来たのでなかったのか。これは作者の想像かも知れないが、薬子のこと書いた史書を読むたびに想うことでもあった。 ぼくの勝手な想像だが、三枝和子も史書からそれを感じ取って本書を書いたのでないだろうか。嵯峨天皇周辺の陰謀の渦中に薬子は自殺を図る。生きる意味を失えば死を選ぶは必然である。2018/02/03
琴
4
図書館より貸出。 薬子は「母性愛の人」だと思った。 安殿をその羽根で包みこんで一生懸命に守ってる… ただ、それが裏目に出てしまうばかりに… 読んでいて もどかしかった。 安殿と薬子が可哀相で可哀相で… 歴史はほんと勝者のものですね。 〜・*・〜・*・〜 〜目次〜 桓武帝崩御(承前) 尚侍薬子 伊予親王事件 平城譲位 萱の御所 夢の平城京 破局 2012/04/13
チャック
3
下巻に期待をしたが、上巻と比べ迫力ない。その分薬子の気持ちが細かく書かれていると思う。平城天皇にイラつきながら、許し、どんどん落ちていく。現代にもありそうなパターンだな。 仏門に入ることで全てチャラにできるのか?モヤモヤするが、薬子の長女長子の生き方が一番きれいだ。 薬子の変で藤原一族の勢力分布が変わったのがよく分かった。2023/09/23
はこ
3
薬子は泥船と薄々わかっていて乗ってしまいました、それにしても 昔の天皇家の血で血を洗う権力闘争は恐ろしい。2013/03/06