秒速10センチの越冬

秒速10センチの越冬

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  • サイズ B6判/ページ数 164p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062089678
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

おれのくそったれな労働の日々。群像新人賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

かや

7
読んでいて他人事とは思えなかった。社会で賃金を得るためには、多少なりとも「使われる」人間にならなければならない。使われる人間は、単純な思考であるほうが都合が良いのだ。文化的教養があるにもかかわらず、面接では「使いにくい」落とされ続けた「おれ」は、機械の役割しか要求されないような肉体労働の場で、自分を常に両側から見つめ、人間の心を保ち続ける。必ずしも「社会に認めてもらうこと」が、人間としての幸せではないのかもしれないなぁ、と複雑な気持ちになってしまった。2016/10/30

oyu---

4
とても面白いのにあまり知られていない作品。ダメ人間好き、ブコウスキー好きにお勧め。フリーターの主人公田中の日常を描く。2013/03/15

虫睦彦

3
秒速10センチとは、主人公が働く配本工場の本を運ぶベルトコンベアの速度。本作は現代のプロレタリア文学と当時称されロスジェネ文学とも呼ばれたようだ。主人公と他者との交流はほとんど描かれず、大半が主人公の工場での労働の日々とその決まったルーティンに関する記述が一人称で語られる。大半の独身男性が抱く孤独感とそれでもなんとなく生き、それなりに一人でも楽しいことが用意されている現代日本社会そのものがそのまま描写されている。文体の荒々しさと描写される世界観、屹立する主人公の自我含め和製ブコウスキーといえる作品世界だ。2022/07/13

ISBN vs ASIN vs OPAC

3
取次のことを調べようとしたら、とうとうこんなとこまで着てしまった。結論から言うよ、ダンナ、日本で、取次について専門的にかかれた本は存在しない。例外は例の労働組合が出してるやつだが、あれにしたって、なんにも書いちゃいない。本屋のインテリ気取りの貧乏人が書いた本にも、版元が出してる本にも、ニッパン、トーハン、この二社の体温がわかるような描写は、いいかいダンナ、一行たりとも存在しない。陰謀論にはしるのはダンナの勝手だがね、お代払ってからにしとくれよ。2016/03/01

酔拳

3
  主人公が、広告会社を無断で辞めて、金に困って、本の取次会社の配送ラインで働いた、ひと冬のはなしです。 最初は、下らないとこにきたもんだと思いながら働いでいる主人公だったが、ラインで働く美しい女性に恋したり、あたふた働くうちに、熟練したワーカーになっていたのが、ほほえましかった。最後のほうに主人公が、ここに残るのは、すごいってことではない・・・ただ、辛抱強いってことだけだって思ったことが、おもしろく思えた。 主人公が、昼休みを工場の屋上ですごすようになるのだが、工場の屋上での景色の描写がのどかで良かった2015/10/14

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