内容説明
戦後復興のさ中の昭和22年9月。大型台風カスリーンが襲来。関東地方に未曽有の大豪雨をもたらし、利根川の堤防を切り刻んだ。狂暴な濁流は関東平野を下って東京下町へと達し、ついに水没させた。悪夢の被災から50周年のいま、多数の証言で明されるその「生き地獄」の惨状。そして、暴れる川と果敢に闘った人々の記録。
目次
第1章 現代の人柱
第2章 破局の後で
第3章 昭和二二年九月
第四章 阿鼻叫喚
第5章 東京沈没
第6章 鎮魂の鐘
第7章 復興へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どろすて
2
台風多めの年のようなので図書館で借りて読む。ノンフィクションタッチで、利根川流域各地の被災者による〈証言〉を挟みながら時系列を追う体裁をとっている。戦後すぐの災害のため、治水の事情は今と大きく違うにせよ、記された被災範囲の広さ、人的被害の苛烈さには慄然とさせられる。都内の被害の章では現在の浸水ハザードマップと見比べながら読んだ。大規模浸水の危険は決してなくなっておらず、むしろ人口増加や各個人の対応力の低下-高齢化や身体力の減少-などの被災リスクが増大している事を知り、気の重い読後となった。2018/08/24
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