内容説明
庭造りの愉しみは、花を育てることだけではない。季節を知り、人生を識ることである。花開き新入学生で賑わう春、花も学生も暑さに萎える夏、果実も人生も実りを感じる秋、そして新しい出発を待つ冬…。イギリス文学者が体験する生命の不思議、庭との絆、失敗…庭仕事のすべてを、大学の四季とともに語る園芸エッセイ。
目次
4月―園芸家は活動を開始する
5月―すべての蕾は花開き、鳥は歌う
6月―お庭の様子はいかがです?
7月―庭の木陰で優雅にお茶を
8月―園芸家にため息をつかせる夏の庭
9月―小さな秋がやってきた
10月―秋植え球根は今が植えどき
11月―庭にもエネルギーの補充を
12月―「気候」が園芸家を鍛える
1月―園芸家に「休息」はない
2月―人と植物の共生は実現するか
3月―庭が眠りから目覚める刻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃも
3
とっても爽やかなエッセイです。英文学の先生らしくところどころに海外作品の一説が引用されていたりして新鮮でした。フランシス・ベーコンまでガーデニングに精を出していたとは…。本家本元のチャペックさんの本、小難しいのでは?と敬遠していましたが俄然読みたい気持ちになりました。2017/01/30
むつこ
2
大学の先生をしている中尾さんは、自分のことを育てる園芸家ではなく育っていくのを見守る園芸家をめざしているという。イギリス式ガーデニングといえば難しそうだけど、この本を見ているともっと自由な発想でやってもいいと思えてきた。2013/07/20
サトル
0
本のタイトルから園芸愛好家が伝授するイングリッシュガーデンの手引書だと思って読んでみたが、とんだ期待外れのエッセーで肝心の四季折々の草花の解説が余りにも希薄で本家本元のカレル・チャペック「園芸家の12カ月」のような心なごませるユーモアの欠片もない。本文でアマチュア園芸家とは余暇として園芸を深めている人で自らは生半可にしか深めていない素人園芸家だと弁明しているが、まさしく英国式庭園の半可通なのだろう。かく言う私も花がひとりでに育っていくのを見守るのが好きなほったらかしガーデナーであることは間違いないけれど。2021/03/05