内容説明
スーパーの万引捕捉に賭ける女性保安士が巻き込まれた殺人事件!不倫相手の妻が殺され、容疑者リストに「私」の名が…。右腕の傷にかけられた疑惑は、みずからの手で払いのけなければならない。第42回江戸川乱歩賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kazu@十五夜読書会
58
初、渡辺容子。読友さんのpapakoさんの感想・レビューから知った作家さん。父は高級官僚で兄2人共外務省勤務、主人公八木薔子も名門女子大卒で国家公務員試験の上級職に合格後、証券会社に女性総合職として入社しエリートコースを歩みながら、長年の上司との不倫を妻に勤め先で暴露され、全てを失い保安士として人生のやり直しを始めた。ところが、その妻が刺殺され事件の嫌疑として、取調べを受ける事になる。嫌疑の無実をあかすため真相調べ始めるが…。八木の保安士としての仕事内容情景・調査で広がる展開に無理が無く謎解きも傑作。⇒2013/06/21
へいっち(ت)♪
23
スーパーの女性保安士に殺人容疑。殺されたのは3年前の不倫相手の妻。私は犯人じゃない...と自ら動き始める。最初は保安士の仕事など興味深く引き込まれましたが、途中から彼女の仕事ぶりにちょっと疑問。自分の本職はどーした?という感じで^^;犯人に私は意外性も感じなかったなぁ。「当選請負人...」も読んでみたいので、そちらに期待しよう!2015/10/08
キムチ
13
13年前の作品での乱歩賞受賞作品。エリート(かなり、鼻持ちならず、同性の友達は少ないだろう・・というイメージ)いいとこの子が上司と不倫して、高い代償を払い、「保安士」として今日の地位に登って来た。 が、彼の妻が殺され、その容疑者となり・・。 量的にボリュームあるのだが、内容が薄く、些か安っぽい。 筆者は若い頃、ジュニア小説で活躍とあるのが裏目に出ているのか、「語彙の多用乱用」にイライラ。 上司の男がかなりのチャラ男。いい年してこんなのもいるのね・・とも思えず、現実味に欠く。 2013/06/29
MK2
9
とにかくタイトルが良い。これしかないというタイトルだと思う。他の本も読んでみたい。2017/12/27
KJ
4
万引は人間心理を映す鏡。対峙する保安士も高度な人間力を要求される。複雑な心情や伊達な気質。鋭い観察眼と心理分析で女性の纏う仮面を暴く過程が面白い。慈善と偽善は紙一重。善業は為すより黙す方が難しい。幸福と不幸の判断は本人のみ可能だ。真実より虚偽が人間を救済する場合もあり得る。誰しも様々な思いを抱えて生きている。事件から浮き出る隠れた人間模様。企業の成長の背後で犠牲を強いられる人間。働く者の過酷な現実。甲斐と情熱。悲哀と苦悩。仕事とは何かを問う矜持に胸が熱くなる。人間心理と経済論理の交錯。人物描写が魅力的だ。2023/06/15