内容説明
三島賞受賞作家の朝まだきの時代を伝える表題作をはじめ、絶讃を博した「くまん蜂の眠る頃」「木陰にて」を収録する名品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たりらりらん
6
表題作他二篇。文体がとても静かで、たんたんと描かれていた。しかし、その静謐さの中に、他者が自分のテリトリーの中へと侵入してくることへの恐怖感のようなものを感じてしまう。そして、問題が解決されずによくわからないといった状態のまま、物語が急に終わるということによって、その恐怖感のようなものは、その後も不安な感じとして続くものとなるであろうことを予測させる。「くまん蜂の眠る頃」は、特に侵入してくることに対する不安が目立つ。メッセージの伝達についても読みどころのように思われる。2011/02/01