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出版社内容情報
江戸文化というものを、通常とはまるでちがった角度から見せてくれる。江戸時代は、鎖国のおかげで、西欧科学の進歩からすっかり取り残されていたと思われがちだが、実は結構、西欧の科学的文物が入っていたのである.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』123頁、より)
内容説明
解剖学や天文学が突きつけてきた衝撃的なリアリズム。顕微鏡や望遠鏡や幻灯機がもたらした驚くべき視覚世界。続々と流入する西洋文明と最新の科学知識は、江戸の先人たちの世界観を変え、表現を変え、人生も変えた。しかし、彼らが“西洋”に屈伏したわけでは、もちろんなかった。旺盛な好奇心に眼を輝かせながら、人々がのびのびと異文化を愉しみ、呑みこんでいった“幸せな時代”江戸の豊かな創造力に乾杯。
目次
第1章 微小世界の発見
第2章 遠景との出会い
第3章 解剖学と美術
第4章 影と光の表現
第5章 異国―未知との遭遇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Meroe
2
西洋の視覚装置、版画などのイメージとの遭遇した江戸の人たちの好奇心とさまざまな転用の様子。顕微鏡に望遠鏡、解剖学、影と光、異国。それ自体がびっくりさせるもの、見世物でもあり、またいままでにない絵をつくるための道具・手段でもあった。たとえば、解剖学と蝦蟇仙人の浮き出た血管のつながり。2012/01/28
果てなき冒険たまこ
1
読んだのをすっかり忘れてまた読んでしまった。それでも江戸期の人たちの好奇心が芸術を生んでいった様なんて令和の今じゃ考えられないなと思いながら、情報の溢れかえる今は本当に幸せで楽しいのかねと思わざるを得なかったな。2024/08/03
果てなき冒険たまこ
0
江戸期の絵画の技法についてあらゆる側面から解説を加えていく。とても面白かったのだがあとがきが刺さった。「情報の氾濫に身をさらしている私たちは、かえって五感を鈍くし、好奇心そのものを檻の中に閉じ込めざるをえない状況に追い込まれているようだ。現代人の眼に江戸の人々の姿が新鮮に映し出されるのは私たちが失いつつある想像力を常に発散し続けているからではないだろうか」そうか、江戸時代、浮世絵、歌舞伎、能狂言に惹かれるのは自分の鈍さにうんざりしているためなのか。。納得。2022/02/17