内容説明
1946年、フィリピン・ミンダナオ島で起こった旧日本軍敗残兵による先住民・ヒガオノン族虐殺と人肉食。癒すことのできない戦争の傷跡を追う、書き下ろしノンフィクション。
目次
赤紙
敗走
密林の糧秣
極限の飢餓
屍の肉
真相究明
勝者の裁き
棄てられた皇軍兵士
時の止まった戦後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラルル
29
終戦直後のミンダナオ島で起きた日本兵による人間狩り。「偵察隊」と称してフィリピンの民間人を狩り、その肉を食す。老若男女・子供だろうと躊躇なく殺しむさぼるその異常さに、最初は半信半疑でしたが読み進めるうちにこれは狂った真実なのだと知り、改めて戦慄しました。父親を殺され自らはレイプされ続け、果ては父の肉を食す事を強要されたヒガオノン族の姉妹の証言は想像を絶します。もはや極限状態という言葉は言い訳に使えるのか、戦争のせいに出来るのか。 そう思ってしまう程あまりに酷い行いでした2016/09/12
Motomi Kojima
9
今週、大岡昇平さんの「野火」が公開されるので当時の勉強のため読むことに。ミンダナオ島北部アグサン近くのジャングルの中で敗戦が濃くなった後に徴兵された丙種の兵士たちの軍が起こした惨劇。想像を絶する内容で言葉がない。飢えは思考力を奪い、自分たちだけが生きたいと思ってしまうのだろうか。日本軍の敗戦を信じれれば起きなかった事件だけに集団の中でのリーダーの決断が後を引く典型的な例だろう。2015/07/19
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- 和書
- 人、夢に暮らす 新潮文庫