内容説明
ついにあの恐るべきKCIA=韓国中央情報部の全貌が明らかに。
目次
第1章 全鍾泌、南山に中央情報部を創設
第2章 陸士十一期生クーデターの陰謀
第3章 大統領の刃と化した、金炯旭情報部
第4章 政権を揺がせた夜の名花たち
第5章 政治工作司令部「南山」の選挙謀略
第6章 コードネーム“豊年事業”―密室の維新工作
第7章 極秘指令「金大中を拉致せよ」
第8章 申稙秀部長、維新守護のため刀を抜く
第9章 「日本と断交し、東京を爆撃せよ」
第10章 金泳三、南山の罠に陥る
第11章 コリアゲートと“時限爆弾”金炯旭
第12章 革命も維新も銃声に消える
第13章 全斗煥、南山を支配する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
43
大韓民国中央情報部(通称KCIA、のちの安企部、国情院)は、朴正煕政権樹立時から朴大統領暗殺まで万事に権勢を振るった機関である。場所の名前をとって「南山(ナムサン)」と呼ばれた。皮肉にも特高出身者がおり、なおかつ日本統治時代の統監府や憲兵隊司令部がおかれた場所である。民主化弾圧等の裏工作に関与した。日本国内では金大中事件で悪名高い。朴大統領への美女パーティー(最期の舞台となった宮井洞でやっていた。)も手配していたらしい。2025/03/09
おさむ
31
同じ題の映画を観たので、読んでみたが、スケールが全く違いました。映画で描かれたのは、朴正煕大統領の暗殺劇が中心だった。本著は、1961年の軍事クーデターから暗殺されるまでの18年間に及ぶKCIAの黒歴史を数々の事件とともに紹介する。北朝鮮との対立関係があったのはわかるが、それを奇貨として政敵の摘発や逮捕、拷問、買収などの裏工作など、よくもまぁ、ここまでの悪事ができるものだと感心します。朴の死後も全斗煥、盧泰愚と軍人大統領が続き、真の民主化が実現したのは金泳三が初の文民大統領になった1993年でした。2021/03/08
Miyoshi Hirotaka
29
わが国の敗戦で偶然に成立した国家が大急ぎで他国の組織をパクって作った。60年代にクーデターで政権を奪取した朴政権(朴槿恵大統領の父)時代の残滓だが、法律に無知なメンバーがならず者を集める結果になった。そのため、スパイ、政敵摘発、冤罪逮捕、脅迫、拷問なんでもありの組織になった。さらに韓国士官学校での「期生」が幅を利かせ、狭い世界での身勝手な論理が横行する体質が温存された。例えれば、横暴なOBが同窓会と大学をダメにするのと同じ。この組織が存在し、「井の中の蛙」体質が改善されない限り、韓国に永遠に未来はない。2016/02/14
ブラックジャケット
16
1961年の軍事政変で誕生した朴正熙政権。強権的な軍事政権として、情報機関のKCIAを設立した。これが彼の軍事支配を確立させ、国民に恐怖政治をしいた。このKCIAの部長が政権ナンバー2で、所在地の南山からこのタイトルが生まれた。独裁政治は側近を生む。秘密が多くなれば、さらに少ない側近に頼る。政権末期に至り、側近に暗殺される歴史の皮肉となる。「東亜日報」の連載記事が書籍になったもの。朴正熙時代だけでなく、全斗煥、盧泰愚までカバーした 硬派のノンフィクション。三代をトータルすると30年の軍事独裁政権となる。 2021/08/22
がんぞ
6
韓国の大手紙・朝鮮日報に1992年連載され単行本は超ベストセラー。冷戦終結でソ連の後ろ楯を喪失した金日成が言論戦でシンパを使って攻勢をかけ工作員金大中の大統領当選へ助力したのであろうか。'74年金大中拉致事件で『南北会談を金日成側が拒否』はその証左。朴正熙大統領にとって国是一変のモデルとして明治維新しかなかったから維新体制という名の戒厳令で度重なる大統領暗殺未遂など攻勢をかける金日成工作員、シンパを取り締まろうとしたのだろうが(自由主義は言論戦で受け身になる)、帰国せず海外で恐怖政治と非難する金大中は卑怯2014/01/23