内容説明
「適者生存・自然淘汰」の固定観念を覆す複雑系の生き残り戦略。私たちはどこから来て、どこへ行くのか。ダーウィン進化論をひっくり返し、人間の生き方・社会のあり方に知の変革をもたらす「競争的共存説」の衝撃。
目次
まえがき シェークスピアになったサル
第1章 進化論は多くの誤解を与えている
第2章 人間は良くできた生物か
第3章 適者生存説は本当に正しいか
第4章 ちょうどよい適者が生き残る?
第5章 偶然によって生き残る?
第6章 競争的共存説
第7章 相互作用が多様性をもたらす
第8章 不愉快な共存
第9章 進化メカニズムを考え直す
終章 生命はこれからどう進化するか
短いエピローグ がんばるべきか、がんばらざるべきか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
13
「適応度」が高いものが生き残る、、と言った場合の適応度とは具体的になんなのか? 「環境」が変われば、とうぜん適応度も変わるし、その「環境」には同時に生存している他の種も含まれる。この疑問に対する著者の回答は、かなり今西錦司っぽい。 → "生命体の世界ではひじょうに厳しい競争があるにもかかわらず、多くの場合に競争者が共存することを示してきた。互いに相手の存在は好ましいわけではないのだが、相互作用によって共存してしまうことがわかったのである”2019/10/22
シロクマとーちゃん
5
ダーウィンの進化論は反証可能性がないから科学ではないという議論はよく聞く。自分も、なんだか、おかしいなと常々思っていながら、なにが妙なのかわからなかった。ダーウィンの進化論の中の核心部分、つまり「適者生存」とは、環境に、より適合した個体が生き残るという原理だ。この一見当たり前すぎる原理を疑ってみようなどとは考えもしなかった。四方氏は大腸菌の生存競争を利用し、この原理の意味するところを具体化した実験を考案した。そして、「適者生存」の原理は全く正しくないことを証明した。非常に納得。 2014/10/26