内容説明
それは一発の銃声から始まった。15年前、大阪の町工場で母を撃った男はどこに?吉田一彰はその男・趙文礼をさがしていた。公安の田丸もまた趙を追っていた。ある夜、キタのクラブに現われた趙に中国語の電話がかかり、直後銃声が轟いた。そして、その時から一彰は、裏社会に生きる男たちの非情な闘いにのめりこんでゆく…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
134
李欧もこの本も何度目かですが、いつもハードボイルドタッチにのめりこんでしまいます。北村さんとは反対に高村さんははじめの頃は男性かとばかり思っていました。本当にこれだけの物語を書くというのは大変であると思います。最近はあまりこのようなものがなく残念に思っています。2018/01/29
ダイ@2019.11.2~一時休止
99
ハードボイルドもので、主人公とリオウの関係がよくわからないのは高村さんらしい?。2015/12/26
みも
53
『李歐』読後に『わが手に拳銃を』とは別物との見解をあちこちで聞きかじり、ならばどちらも読まねばと読み出す。マクロ的に趣意は同じだが、やはり別物と言っても過言ではない。見紛う事無きハードボイルド。だが残虐な描写や暴虐シーンは無いに等しい。それらはあくまで仄めかしにとどめつつ、見事に闇社会の仮借なき冷酷を描き出す。粗削りで生々しさが活きている本著の武骨な筆致が心を打つ。優劣では無く好悪の点で個人的には本著の方が好み。傑作には違いないが『李歐』はやや高尚に仕上げ過ぎた感がある。拳銃に関する描写は呆れるほど細緻。2018/04/18
扉のこちら側
46
初読。2014年1129冊め。五條瑛まつりから高村薫へ。「李歐」とはまた違うリ・オウと一彰の物語。こっちの一彰は意欲的だな。2014/12/13
きたぴー
30
マークス単行本による出会いで嵌まり、照柿で惚れた高村薫氏。初期作品からぽつりぽつりと読み進めて本作まできた。なので「李歐」は未読。いや~、久々に高村薫読んだな~という気だるい満足感に浸っております。一彰とリ・オウの二人がもちろん格好良いのだけど、「なあ、ぼん...」色々な男達が口にするこの響きがなんだか染みる。守山や田丸、なんとも言えない哀愁や執着を抱えた漢たちに見守られながら、鍛え、銃の道に練磨されていく一彰の姿を自分も見守っていたのかな。闇夜にうかぶ夜桜の艶っぽさとをアジアの混沌とした熱気を感じた本。2024/08/07