内容説明
ほろ苦い人生の味。エスプリとユーモア味わい深いエッセイ。心優しい鉄砲撃ちの狩猟に関する24講座。
目次
狸を食べすぎて身体じゅう狸くさくなって困ったはなし
暮れの鉄砲撃ち
ウズラがぜんぜんいなかったはなし
鳥の幸せ―あわせて名犬マックの活躍
猟チョッキをめぐる感想
カラスにもうしわけないことをしたはなし
心痛む犬たちの思い出〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
28
講談社エッセイ賞受賞作。著者は大学退任後にロード自転車に乗り始め、老人がロードに乗る事の楽しみと苦労を淡々とエッセイにした「自転車ぎこぎこ」で一部の自転車乗りに熱烈に支持されている。(ぼくもその1人だ)若かりし頃は小説家伊藤整の息子として苦悩を抱えながら、愛犬、愛銃とともに多摩地区で鳥専門の鉄砲撃ちに励んでいた。本作はその頃の思い出のエッセイ集。昭和30〜60年代の多摩地区の自然が詳しく書かれている。後半の、多分唯一心を許していた歴代4匹の猟犬達との思い出が切ない。自然、動物好きには響く好エッセイ集です。2021/01/31
紫伊
18
狸をたくさん食べてビールを飲むと胃袋の中で狸ビールができてしまい身体じゅうにまわってしまう。そして身体が狸臭くなってしまうのだ。狸でなく鳥撃ちの猟師によるエッセイ。現在は分からないが当時は東京神奈川でも雉や鴨が獲れたようで知っている地でも獲れるのだとしみじみしてしまった。最近とても注目している鴨についても多く言及されておりとても興味深い。人間はオイと言うと出てくるが鴨はホイと言うと出てくる、夕方になると不忍池の池などから飛び立って東京周辺の田圃などで餌を漁りまた戻ってくる、コガモが1番美味しいなどなど。2021/12/06
7kichi
3
タイトルは「狸ビール」だが、かつての趣味であった狩猟を回想したストーリー。猟銃解説に力が入るなど、後の作品である自転車モノや農業モノ(話は脱線しない)に通じる部分あり。師匠に敬意を表しながらも崇めすぎず、弟子は徹底的に見下したりとユーモアに満ち溢れた作品。相棒の犬たちを偲ぶ件は哀愁を覚える。2016/08/18
Junya Akiba
3
「狸ビール」というタイトルが何となく気に入って読んでみた。30年間趣味で猟をした鉄砲うちのエッセイ。冬に解禁になるのに寒いとなかなか布団から出れず、しかも朝寝坊。そもそも鳥うちなのになんで狸ビール?穴掘って手掴みしてるし、、、。猟の話、師匠・弟子の話、犬の話。作者が私の親と同じ世代だからか、話題は少し違うものの、親父が昔話を面白おかしく語っていたのを懐かしく思い出しながら読了しました。2016/07/23
ishito
0
「朝早くおきるのが不得意な人間は、なにについても熱心になれないのです。これは、熱心になろうとしても、熱心になるまえに夜が来てしまうためだろうと思います。」 女性の話がおっかしい。犬の話もおっかしいけどしみじみ。 自転車シリーズの方が好みではありました。2015/06/22