内容説明
昭和モダニズムの哀切な施律と、軍靴のひびき。人気絶頂のエノケン一座。当時9人いたニセエノケンの一人が殺された。容疑はホンモノのエノケンに…。親友のロッパ、弟分のシミキンの大活躍が始まる。第35回江戸川乱歩賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Our Homeisland
16
この作者の名前は、ゲームがヒットした頃に読んだ「弟切草」で知っていました。乱歩賞ということで読んでみましたが、まずまずではあるのですが、「さすが乱歩賞だ!」というほどでは、なかったです。特別な方言や擬音が入ったせりふは、それほど、不快感は感じませんでしたが、特別に良いとも思いませんでした。当時の選者の選評が巻末に掲載されていたところにもあったのと共通しますが、当時の世相や喜劇、演劇、エンターテインメント界のことが、書かれているという点は、面白かったです。乱歩賞受賞作にしては読んだ人が少ないのがさびしい。2013/03/22
KJ
5
威勢の良い啖呵。鬼気迫る役者の芝居。臨場感溢れる舞台の描写。芸を表現する言葉の芸。演芸と文芸の競演が織り成す濃厚さに圧倒される。暗い世相にこそ人は笑いを欲する。戦時下で笑いを創作する事が如何に困難を極めたか。窮屈な時代は知恵を絞り工夫を凝らし新しい芸術を生み出す契機になる。理不尽に屈せず懸命に抵抗する舞台人の気概が伝わる。人には命を賭しても伝えたい想いがある。事件の謎を解く事は背後に込められた想いを読み解く事だ。魅力的な人物の造形。天才に歴史あり。笑顔の裏に涙あり。悲しみを知る故に喜劇王の芸に深味が出る。2023/01/31
MIKETOM
4
第35回乱歩賞。全然面白くなかった。戦前の東京浅草の演芸の世界なんてのが好きな人ならいいんじゃないかな。俺はこういうのは全く興味がないのでダメだった。それにエノケンのキャラが好きじゃないし。ミステリーとして見ると、盲人が誰にもバレずに何年も暮らすとか、有り得ないだろう。お花とかカラスとか、ストーリーに都合いい人間を設定し過ぎ。殺人が発生して、ちょろちょろと追加情報があっただけで次は謎解き。探偵役の人間があれこれ悩みながら真相に少しずつ近づくなんて部分は全くなし。全体的にペケだね。しょうがないけど。2016/12/29
黒い鴉
3
初読の時は、私は浅草もエノケン、ロッパにも興味が無い人間なので少々辛かったが、今回の再読にてその根本に有る戦争への憤りに感銘を受けた。また最初は軽快なテンポに乗りまくるエノケンたちの芸人言葉やおふざけが苦手だったが、今回彼らが暗い時代に翻弄されつつもそういう顔をみせている処が読めて辛かった。ミステリとして図解や見取り図が頻出して楽しかった。ベテラン脚本家の作だけあり、さりげない心の機微のシーンなどうまい。2021/03/14
もりの
2
江戸川乱歩賞受賞作。江戸川乱歩賞を最新作から遡って読んできたが、そろそろ古くさいというか、合わなくなってきたというか、読む気がわかないものが多くなってきた。。2022/01/30
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