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内容説明
愛と情念のたぎり、そして殺人。人間の根源的な謎を、スペイン社会に凝視した現代文学の傑作。’89年ノーベル文学賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobi
58
ありうる憎しみも怒りも度を越すと異様な風景が現れる。パスクアルに一旦生まれた噴怒は、その矛先を収めるまで決して彼を手離さない。その対象が身近な動物にまで及ぶに至っては許容範囲を超えてしまう。似たような事件は読書経験してきているはず。なのに心理も行為も逐一記す手記だからか、違和感を覚えつつ距離を置いて読むこともできない。服役中には聖人のような述懐をするその同じ男がまた事件を繰り返す。その性(さが)は変えようがないという悲しい諒解。ただ救いと言えるのか、対象はいつも特定の何者か。不特定の何者かには向かわない。2022/01/19
Mark.jr
4
ちょっと中上健次を思い出した。2022/10/10
さぼさん
4
“ドン・キホーテ”の次に有名なスペイン文学.幾つもの殺人を犯すパスクアルは決して真の悪ではない.彼には親の愛情と教育が足りなかっただけ.何度も踏みとどまろうとするが,衝動に負けて罪を犯してしまう.人間の理性を育てるうえで何が必要かを教えてくれる反面教師的な作品.2010/04/28
乙郎さん
3
スペインのノーベル賞作家、セラの小説。殺人者の一生を手記形式で綴ったもので、時系列がはっきりしない部分なども多い。信頼できない語り手の形式をとっているのかもしれない。だからこそ解釈がわかれるだろう。個人的には一人だけ死因がはっきり描かれていないのが怪しいと思うのだけれど。この作品が絶版とは惜しいな。2009/04/25
勉誠出版営業部
2
カミロ・ホセ・セラの『パスクアル・ドゥアルテの家族』を読了。冒頭の手紙からして、何やら不思議な構成。内容も書き手が章ごとに変わっているようで、いささか理解しづらい。2016/05/28