内容説明
実務型リーダーこそ逆境に強い!人をどう動かすか、人をどう組織してゆくか、それはいつの世にも求められる指導者の要諦である。世間に今日まで伝わる「大久保利通」は果して冷徹、犀利な人物だけでしかなかったのか。―彼の人間性、洞察力、先見力に今こそ学ぶべきなのだ。
目次
第1章 藩内実力者としての実務―実力発揮の場をいかに獲得するか(日本最強の実務型リーダー;斉彬襲封;精忠組の久光親衛隊化構想)
第2章 中央政権進出への実務―大舞台のなかで、いかにポジションを獲得するか(西郷帰藩の演出;久光上洛の準備;朝廷工作の窓口・岩倉具視)
第3章 倒幕の実務―巨大組織をいかに破壊するか(人材登用でニュービジョン模索―西郷・大久保コンビの復活;慶喜と大久保;大政奉還論起こる;王政復古の大号令構想)
第4章 版籍奉還、廃藩置県の実務―新体制をいかに創造するか(戊辰戦争;山県有朋の役割;板垣退助の天分封じ込め作戦)
第5章 欧米巡遊の実務―新知識をいかに取り入れるか(中江兆民の売り込み;富国強兵策固まる;高橋新吉回想談)
第6章 国家掌握の実務―権力維持のために組織をいかにつくるか(伊藤博文の江藤つぶし;内務省誕生)
第7章 国際外交の実務―不退転の決意をいかに示すか
第8章 国内安定の実務―不平分子をいかに排除するか(大久保と大山綱良;西南戦争終結で中央集権完成;明治天皇と大久保)
終章 大久保利通・その実像(清廉な人生;欠陥人間を使いこなす―黒田清隆;いまこそ、大久保を研究せよ)ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわかみ
4
本書を読んでも明治に官僚機構を作り上げて運用した大久保の偉さを理解できたわけではないが、大久保という人物の強みはわかった気がする。抽象的な理想を排して、具体的な目標に向けて、倦まず弛まず、次善策・代替策も講じて進んでいく実務家。その歩み方は一般の実務家にとっても大いに参考になるだろう。幕末から明治にかけての動乱の中での大久保の出処進退をわかりやすく書いているが、個人的には佐賀の江藤新平の英明と大久保との確執が印象に残った。しかし、明治の不平士族の反乱は大久保が謀をもって暴発させたというのは本当だろうか?2023/07/28
rbyawa
0
e302、官僚機構とタイトルにあり期待したものの、どちらかというと薩摩藩が辿った幕末までの歴史を辿るのに都合がいいんじゃないのかなぁ。明治新政府において長州の木戸と共に権力の座からは一歩引いた、と語り、それによって人材を育てた、薩摩藩そのものの人材も幕末の動乱の中で守った、というところまでは面白く読んでいたんですが、その後の政権への復帰を「緻密な計算による思惑通り」と表現されてしまうと…どちらかというとがっかりです。あと大久保と西郷、江藤新平以外の人物の業績がほぼ完全に無視されてるのでまあ、小説ですかね。2014/10/29