出版社内容情報
聖書伝説を戦後風俗に重ねた寓意小説「焼跡のイエス」「かよい小町」「処女懐胎」を含めた六篇を収録。戦前から戦後へ。
精神の運動の輝かしい軌跡を描く秀作6篇。
敗戦直後、上野のガード下の闇市で、主人公の「わたし」が、浮浪児がキリストに変身する一瞬を目にする「焼跡のイエス」。少女の身に聖なる刻印が現われる「処女懐胎」。戦後無頼派と称された石川淳の超俗的な美学が結晶した代表作のほかに「山桜」「マルスの歌」「かよい小町」「善財」を収録し、戦前、戦中、そして戦後へ。徹底した虚構性に新たな幻想的光景を現出させた、精神の鮮やかな働きを示す佳作6篇。
立石伯
石川淳の現実や時代と切り結び、闘いつづけた精神の軌跡は、一言でいえば、仮定から仮定へと飛翔するダイナミックな言葉の響きあう波動と延々とつづくその努力の線上にくっきりと刻印されている。原稿用紙にひとたび書きはじめられた言葉の力は精神の磁場を形成し、そこに生みだされた質量をバネにしながら、現実の闇のなかをペンが発明に向けて運動していくものにほかならない。――<「解説」より>
山桜
マルスの歌
焼跡のイエス
かよい小町
処女懐胎
善財
石川 淳[イシカワ ジュン]
著・文・その他
立石 伯[タテイシ ハク]
著・文・その他/解説
内容説明
敗戦直後、上野のガード下の闇市で、主人公の「わたし」が、浮浪児がキリストに変身する一瞬を目にする「焼跡のイエス」。少女の身に聖なる刻印が現われる「処女懐胎」。戦後無頼派と称された石川淳の超俗的な美学が結晶した代表作のほかに「山桜」「マルスの歌」「かよい小町」「善財」を収録し、戦前、戦中、そして戦後へ。徹底した虚構性に新たな幻想的光景を現出させた、精神の鮮やかな働きを示す佳作六篇。
著者等紹介
石川淳[イシカワジュン]
1899・3・7~1987・12・29。小説家。東京浅草生まれ。別号、夷斎。東京外国語学校フランス語科卒。1921年同人誌「現代文学」の創刊に参加、翻訳活動にも従事。24年旧制福岡高等学校の講師として赴任するが、学生運動に関連して退職。以後、10年間の模索期を過ごす。35年処女作「佳人」を発表、36年「普賢」で芥川賞を受賞し文壇に登場。和漢洋にわたる該博な知識と批判と遊芸の精神に富んだ多くの名作を残した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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