内容説明
出獄後の生き方を模索する順吉の前に立ちはだかる母の存在。“義”に生きようとしつつも、それを果たせぬ焦燥と苦悩を描いた「第一義の道」、生きものの生死を通じて自己を見つめた心境小説の名作「黒猫」「赤蛙」「ジガ蜂」、“北方人の血と運命”をかけ、長篇として構想されながらも絶筆となった「土地」等、六篇を収録。苦多き短い生涯を、求道的な精神とストイックな理想主義で貫いた島木健作の稀有なる文業を精選。
著者等紹介
島木健作[シマキケンサク]
1903・9・7~1945・8・17。小説家。北海道札幌生まれ。幼くして父と死別。苦学を志し、2度上京するも、結核、震災による負傷で帰郷。その後、東北帝大法文学部選科に入学。東北学連に加盟、学業を捨て、香川県の農民運動に参加。1928年、検挙されのちに転向。32年、仮釈放。34年、収監中に材を得た「癩」「盲目」で新進作家として注目される。真摯な青年の帰農をテーマとした『生活の探求』はベストセラーとなる。戦争の進行とともに病床の人となり、敗戦の2日後に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ikering kopanda
1
赤蛙を考察する話2025/05/02
あにこ
1
名品と知られる『赤蛙』を読みたいがために買った。志賀直或『城の崎にて』に似た感じだなと読み始めは思っていたものの、成る程それよりも武骨で鮮烈である。自身の根本を見据えた心境小説にこそ、作家の本質が見えてくる気がする。チープな娯楽小説よりもよほど好奇心をかきたてるものがある。『土地』が未完なのは非常に残念。2012/03/19
イッパイアッテナ
1
蛙や蜂といった小さき生き物から生を見つめた島木。楽な道がありながらも激流に挑み続けた赤蛙。その行為は無意味だといえるのか。「土地」は最後まで読みたかった。最上と仲田をもっと見ていたかった。2011/01/16




