出版社内容情報
河井 寛次郎[カワイ カンジロウ]
著・文・その他
柳 宗悦[ヤナギ ムネヨシ]
著・文・その他
河井 須也子[カワイ スヤコ]
解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アムリタ
11
陶芸家河井寛次郎は生涯、美の行者であった。 独特な視点の文章、自由な木彫や陶彫作品も多数ある。 表題の「蝶が飛ぶ葉っぱが飛ぶ」は短いエッセイであるが、戦時中の京都でいつ焦土と化すかわからぬ町を高見から見下ろし突然、「焼かれようが殺されようが、それでいいのだ、それでそのまま調和なのだ」という思いに満たされる。不安のままで平安、という境地。 「この世このまま大調和」 人が見えないものを見、聞こえないものを聞き、美と追いかけっこをするように生きた稀有な存在だった。今も作品の中に寛次郎がいる。生きている。2021/07/19
qoop
7
作風の変遷著しい陶芸家の著者。本書に収録された文章は〈民芸〉を志した昭和初期から最晩年の四〇年代までと執筆時期が幅広いため、本来ならその作風の変化を読み解けねば読んだことにはならないだろう。ただ陶芸に向き合う態度に関しては、時期の差を感じずに読める点にこそ意味があるのかも知れないな、と。こういう時、講談社文芸文庫は年譜があるためありがたい。2021/11/18
つんこ
2
河井寛次郎の寛には点がある。誰にも師匠につかず自らは東工大窯業科を卒業。焼き物に関する哲学は私には難しかったけれども、金属を擬人化したり、化学式を人生にみたてた表現が独特。終戦間際の京都の人の気持ちや(決して安全とは思っていなかった)室戸台風の際の五条坂の様子などが興味深い。また養子である博次さんとの関係(巻末の須也子さんの解説)や、柳宗悦との交誼などもわかり、河井寛次郎の人となり、周囲の人々のことが掴める良著。また記念館に行ってみたい。2018/07/05
ぼっせぃー
1
『神と仏とは、私にとって一本の縄のようなものでした。信仰的にいって、そういう一つの世界にいつも私はいたのです。(略)こんな風にして自然のままに見せられた神や仏は、神が果してあるか、仏が果してあるかというような否定的契機を経ていないのですから、「ゴッド」という概念とは大分ちがいます。(略)信仰というよりは、宗教的情緒といったほうがよいのです』自らを美の行者に喩えた河井寛次郎の“仏教に限らない仏心”のあり方が窺える。河合博次との対談を読んだあとに、その妻が語る河合博次のその後を読むと、胸を打たれるものがある。2024/04/30
おかっち
0
美とは何なのか、分かってきたようでまだまだ深くて、面白い追求。 人の魂に響く作品を作るには、もの事・世の中への理解の仕方が必要だなと思う。2021/08/12