内容説明
離婚を戦いとり、一人息子と妹を抱えた生活は窮迫するが、嫩は書くことに生きる光明を見出していく。そんな折り、かつて幼い嫩を捨てて駆け落ちした母を捜して引きとった。こんどは母のわがままと気紛れに翻弄され、執筆時間を奪われる日々が始まる―。凄絶な苦闘の半生を毅然と描き切った自伝的長篇三部作「蕁麻の家」「閉ざされた庭」につづく完結篇である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Melody_Nelson
3
三部作の完結編だが、これまでと趣が異なり、後半は明るい。年を追うごとに筆者が逞しくなっていくし、諸々の厄介なことを終えて、ようやく自分の望み通りの生活が叶って万々歳だろう。自分の暗い過去とも向き合い、親戚などに虐められたことも小説で表し(ペンの力で復讐?)、ダンスと共に第2の人生を楽しく歩んでいるのが伝わってくる。萩原朔太郎の娘ということで、つらい経験もあったようだが、良いことも多くあったようだし、元夫や母との再会などについて、とても面白く読んだ。2020/07/31
齋藤優稀
0
嫩はストイックな女性だった。アダジオなどのダンスに、オブジェの制作、物書きと、75歳でも活動的に行動する。子供や他人には無関心で自分の時間を大切にする。30代の頃一度広太という恋人もできたが、彼は去って行った。ダンスは彼女の生活の活力を与える精神的支柱だった。多くの人が死んだ。次第に自分よりずっと若い人々の中に囲まれるようになった。2022/06/04
朔ママ
0
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️2022/01/09