内容説明
後年は風俗小説「銀座八丁」を書いたプロレタリア作家の初期権力との格闘を示す伏字××のある小説「暴力」収録。その後浅草のアパートを舞台に庶民男女の哀歓を活写した「日本三文オペラ」や「市井事」「一の酉」「井原西鶴」と、「川端康成小論」「西鶴町人物雑感」「好色の戒め」等の評論を併録。強靱な散文精神で戦前戦中の激動時代を疾駆した作家武田麟太郎(明治三十七年‐昭和二十一年)の精髄を一冊に凝縮。
目次
暴力
反逆の呂律
日本三文オペラ
市井事
一の酉
井原西鶴
横光利一
川端康成小論
西鶴町人物雑感
好色の戒め
京都学校
ああ、俗悪なる―
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
明石屋真奈
1
平凡と喜劇的(決して悲劇では無い)デフォルメとの中庸。これが「三文」オペラを名乗る所以か。2009/03/10
さらっち
0
学校の課題で読み終わった。課題の内容でプロレタリア文学であるかどうか考えなければいけなかったが、もしかしたら政府の弾圧に答えて、話の節々に秘密のメッセージみたいなものを入れていたのかなーとも思ったが、全体的に内容は結構難しかった。
ぽん
0
「もっと、お祭り騒ぎのように反抗したかったのだ」この時代の生き苦しさと、今の時代の生き苦しさ。世の中はあまり変わらなくても、人は変わっていくんだな。伏せ字が全て分かってない事が、残念です。2009/10/25
クジラ
0
この時代の生き方や価値観の違いに戸惑った。その時代時代に良さがあって、人々は懸命に生きてきて、ただ現代社会との相違が際立っていた。2022/05/07