内容説明
ハレー彗星が地球に大接近し、湯河原で幸徳秋水が逮捕された明治43(1910)年、著者五歳から書き起こし、関東大震災の翌年、田舎の代用教員を辞し東京に出て地元の有力者の書生となった大正13年20歳を目前にする頃までを、北海道の原野を背景に描く自伝小説。抗し難い性の欲望に衝き動かされた青春の日々を独得の語り口で淡々と綴る傑作長篇。日本文学大賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
algon
4
百年文庫「店」の中で取り上げられていた道産子作家和田芳恵。男でした・・だよなぁ、むき出しの表現は。いい話を書いていたので代表作と言われるものを読んでみた。表題通り全編暗いです。貧しさに追い詰められた長男が家計の為に学業と稼ぎをものにしようとするが病気になったり環境と折り合いがつかなかったり転々としたあげく先々での女性関係。最後はまっ黒な幕が下がってラスト。何の救いも展望も無し。1人の青年の悩み悶えの来し方を克明に徹底して追った。自分の町の図書館では20年間で3人だけが借りた。日本文学大賞受賞作なのだが。2018/11/28
千本通り
2
アマゾンのレヴューで小谷野敦氏が絶賛してたので購入して読んだ。確かにエロいが、女性描写が達者で文章が洗練されていて職人を感じる。話が飛ぶので最初戸惑うが、独特の空気を作っていて引き込まれる。隠れた名作。2020/12/30
シノウ
1
大正期の北海道での暮らしぶりや、当時の恋愛観、肉体関係の有り様などを生々しく描いている。性に奔放だけどそんなにふしだらには感じない不思議な魅力がこの小説にはあった。2017/10/22
畑 いゆ
1
小谷野敦さんのアマゾンレビューで気になって集英社文庫で購入。 とても良かったです、ぜひ一読を。2012/01/08
こらった
0
云ってしまえばヤリたい放題の話なのに、時折ふっと胸を掴まれ揺さぶられてしまう。傑作。2017/01/29