内容説明
高名な医師クーレージュとその十八歳になる息子が同時に、町の有力者の愛人になっている美しい未亡人マリア・クロスを愛してしまう―地方都市ボルドーを舞台に、男と女を決定的に隔てる「愛の砂漠」、絶対的に孤立した人間の心の暗部をえぐり出した傑作。遠藤周作が深い共感を覚えつつ翻訳したこの作品は1925年のアカデミー小説大賞を受賞した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
刳森伸一
2
同じ女性を愛した親子を描く。最近の流行りではないかもしれないが、こういった王道的心理小説はやはり必要。2018/07/08
ymni
1
主要な登場人物、レイモン、クーレージュ医師、マリア・クロスの3人共今一つ決まったキャラクターを見出すことができず、腑に落ちない読後感となった(その他登場人物にはステレオタイプ的な要素があったため尚更)。名作の一つのため、自分には何かこの作品を味わうための何かがまだ足りてないのかもしれないと思う。思った以上に読みやすい作品ではあったためまた時間があったら読んでみたい。2022/12/24
うたかたの記
0
これぞ王道フランス文学。マリアの心理描写も繊細で、クレージュ父子の心理描写も絶妙に相対的な移り変わり方をしている。親子の表向きな態度と深層心理がリンクしていて、それが同じ女性を好きになってしまったことで、お互い筒抜けになり自我に苦しむ。最後の親子が汽車で別れるシーンは、余韻がフワッと広がった。素晴らしい小説。2017/03/12
OraInuchan
0
再読。2021/11/14
Э0!P!
0
真の愛を追い求め、気まぐれで災厄をもたらすファム・ファタールことマリア・クロスに籠絡されて破滅したクーレージュ父子は、地獄の底で、交錯した親子愛を見出す...。家族は束縛をもたらす鎖かもしれぬが、最も身近で肌身に触れ続けている親しさに身を任せれば、心地よさすら感じられるものだ。ただ、それがわかるには充分に老いる必要があるのかもしれない2021/10/02