内容説明
人情の機微、男と女のきわどい心理の綾を洗練された筆致で浮き彫りにした名手アーウィン・ショーの短篇からニューヨークを舞台にした秀作十篇を常盤新平が精選。
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masako
15
ニューヨークのお洒落な雰囲気の中にも、男女の哀しさや戦争の影など垣間見える短編集。「夏服を着た女たち」などの作品も良かったけど、「モニュメント」と「ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ」が印象的だった。どの作品も読んでて、映画を観てるような感覚になった。2014/09/02
メセニ
14
登場人物たちが、大昔ではなくてほんの十数年前のことを思い出したりする。二十歳前後のことだろうか。まだまだ老けたつもりもなく、それでもあの頃と比べれば確実に若くはない。そのことに懐かしさを覚えたりビターになったりする。手を伸ばせば届きそうで、わずかばかり前だと思ってたことが、気がつけば永遠にも思えるほどの距離になっていて、何だか怖い。たぶん二十代でこれを読んでいてもそれほど共鳴しなかったかもしれない。三十代の半ばが近づいて、これを感受できるようになったのは喜ぶべきか悲しむべきか。静かに発熱をうながす傑作。2017/07/31
みずいろ
10
女にとっては覚悟の町、男にとっては憂鬱の町。アーウィン・ショーの描くニューヨークはそういう場所だ。そして男と女の絶対的なわかりあえなさが、この町に切ない味わい深さを添えている。そこには争いがあり絶望があり惰性があり喜びがある。ただオシャレなだけではない、この町の呼吸がとても身近に感じられてくる。「私たちが住むこのニューヨークからわきおこる喧騒の本当の意味を私たちに教えてください」生きることがそっと匂い立つ短編集。「夏服を着た女たち」の鮮やかさに魅了された。2014/01/03
駒子
5
『書店主フィクリーのものがたり』で主人公おすすめの作品だったので、気になって借りてみた。そしたら、ほんとに当たり!フィクリーへの信頼感が増した。笑 洗練されていて、さわやかさのなかに苦味があるお話たち。洗練されてる、なんていうとただのおしゃれ文学みたいに聞こえるかもしれないけど、これはほんとに素敵な話ばかり。「街を探し歩いて」「80ヤード独走」「ニューヨークへようこそ」がとても好き。2017/08/09
メデスキ
3
オー・ヘンリーの出来損ない。表題「夏服を着た女たち」が著名だが、飛び抜けた出来でもない。おそらく訳とは関係なく文章もこれといって洗練されたものもない。凡夫凡才が手掛けた短編集。ただ、洒落てるって思わせる工夫はしている。まあ、それも大したことないが。