講談社文芸文庫<br> 生命ある若者

講談社文芸文庫
生命ある若者

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  • サイズ 文庫判/ページ数 409p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061976894
  • NDC分類 973
  • Cコード C0197

内容説明

盗み、女漁り、夜遊び―内省には無縁なローマの貧しい若者たちの、猥雑かつ純粋な生命の息吹き。1950年代のイタリアで「まず情念を!」と戦闘的な文学活動を繰りひろげ、60年代になって『テオレマ』『アポロンの地獄』『王女メディア』などで実験的な映像の世界を追究するさなか、十七歳の青年によって非業の死を遂げたパゾリーニの問題作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

130
イタリア市街の貧民街、無軌道な若者は走る、跳ねる、盗む。母は、おそらく身を売って稼ぎ、父は不在。子供はしたい放題でも、誰も注意しない。彼らの悪さは、悪(アク)ではなく、罪悪感もない。お金がないからかっぱらい、無ければ飢え、手加減てものも知らない。だから、いつも死は横にある。油断してはいられない。なのに彼らの持つ躍動感はどうだろう。だからこそのタイトルなのだ。「生命ある若者」 ロクな大人になるはずもなき彼らの成長を、天上から誰かが見ていて語っている、そう思える行間に漂うのは、ただひたすら清々しさだった。2017/01/03

まふ

114
ムッソリーニが失脚した時期から戦後の混乱期に荒廃したローマ市内の貧民街で育った社会の底辺の少年たちの生態を<ありのままに>描いた作品。いのちをつなぐための窃盗・暴力が当たり前の世界というのははわかりやすく理屈は全く必要ない。少年たちはその自由を謳歌する。だが、その自由は社会の混乱が回復し秩序が戻るまでのはかない夢のような時期だけにかぎられるであろう…。戦後のとりわけ敗戦国に見られた光景であり我が国の風景にも似たようなものがあったのでは、と思いながら読んだ。G1000。2023/10/28

NAO

51
反逆の詩人、映画監督としても知られているパゾリーニのこの作品は、一つひとつの章が密接に繋がり合っているわけではなく、連作短篇集のようにゆるやかに繋がっている。話は、まず、リッチェットが聖体拝礼式を抜け出すシーンから始まる。仲間たちは聖体拝礼式のあとの名付け親の家での食事会を羨ましがっているというのに、まだ10歳のリッチェットは食事よりも自由を選ぶ。そして窃盗に出かける。リッチェットを取り巻く少年や青年たちは、みな貧しく社会の最底辺に属している。そして、描かれている時代は、ムッソリーニが台頭し⇒2023/09/29

T. Tokunaga

5
年端もいかぬ者(人のことは言えない)に読ませておけば安心な文学というのがこの世には存在している。この本もそんな1冊で、わたしはこれに夢中になるにはあまりに年老いている気がする。この種の文学の友達グループには教養があって内省的なやつがいたりするが、それがないのは救いである。しかし、実際、娼婦は縁のない浮浪少年を育てたりすると聞いたが、それは本当なのだろうか。だとしたら、この小説の娼婦のリアリティが問われる。2023/08/28

勉誠出版営業部

5
ピエル・パオロ・パゾリーニの『生命ある若者』を読了。第2次世界大戦前後のイタリアを舞台に、若者たちの猥雑な日常を描いた作品。ジャン・ジュネから装飾的な表現を抜いたような印象も。2016/09/01

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