内容説明
志賀直哉は文豪にふさわしい豊かな文学世界をつくりあげたが、私生活では人なつこく、遊びごとのトランプや麻雀を楽しんだという。本書で志賀門下の阿川弘之が、直哉と縁のあった四十人を選んで交友録を編んだ。夏目漱石、内村鑑三、清水澄から始まり、「白樺」の同人の武者小路実篤、長与善郎など、画家の梅原龍三郎や、門下の滝井孝作、尾崎一雄以下そのひろがりは一つの時代史ともなっている。
目次
夏目漱石
内村鑑三
清水澄
泉鏡花
鈴木貫太郎
武者小路実篤
木下利玄
里見〓
長与善郎〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬見
12
「その人物について直哉直筆の文章があるか否か」を基準に選ばれた四十人との交友録。こういう基準ゆえ、交流が厚かったものの直筆の文章がない小津安二郎、小林秀雄、谷崎潤一郎などについての文章・書簡は収録されておらず、逆に「友」ではないものの直筆の文章が存在する太宰治や泉鏡花などについての文章は収録されている。挙げられた人物のうち1/4ほどしか知らなかったが、面白く読んだ。こういう文章の読み口も小説作品と変わらない印象。2017/12/18
月
10
夏目漱石、内村鑑三、泉鏡花、武者小路実篤、梅原龍三郎、芥川龍之介、広津和郎、谷崎潤一郎、瀧井孝作、網野菊、尾崎一雄、藤枝静男、阿川弘之、小林多喜二、太宰治ほか、志賀直哉と繋がりのある40名との交友録。末弟子でもある阿川弘之氏による編集。既読の作品もある中で、漱石や内村鑑三への想い、泉鏡花の人柄、武者小路との絆、梅原の芸術性、芥川との交わり、広津への好意、瀧井との交友、網野菊との出会い、尾崎との師弟関係、小林多喜二の感想など、志賀直哉を中心としてとても興味深い内容(人選と温度)となっている。 2014/07/09